葛の花残る
autumn 植物

葛の花残る

くずのはなのこる

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意味・由来

葛の花残る」は、秋が深まり多くの草木が枯れ始めるなか、なおも散らずに僅かに咲き残っている葛(くず)の花を指す季語です。初秋に咲き誇る瑞々しく生命力に満ちた「葛の花」に対し、こちらは晩秋の冷気の中でひっそりと、しかしどこか粘り強く色を留めている姿に焦点を当てています。行く秋の寂しさと、野生の植物が持つ芯の強さが同居した、哀愁と情緒に満ちた季語です。

この季語で詠むコツ

花が満開の時期を過ぎているため、周囲の「枯れゆく景色の静けさ」や「冷たい空気感」との対比を意識して詠むのがコツです。色褪せつつある赤紫色の花びらや、冷たい雨風、斜めから差し込む秋の日差しなど、時間経過や哀愁を感じさせる言葉を添えることで、咲き残る花の健気さや寂寥感がぐっと引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 風景・自然:山路、谷間(渓)、荒れ地、崖、岩肌
  • 気象・時間:秋雨、冷風、夕霧、薄日、夕影
  • 状態を動詞・形容詞で:ひっそりと、色あせ、耐ふる、暮れかかる

葛の花残る」の俳句例 (3件)

葛の花残りて渓のひろごれる
清崎敏郎【現代語訳】秋も深まり、葛の花がわずかに残るばかりとなった。その寂しげな景色のなか、目の前の谷が広く見渡せるように広がっている。 【鑑賞】行く秋の冷涼な空気のなか、散り残った葛の花の赤紫色が、広大な渓谷のスケール感を静かに際立たせている名句です。
葛の花残りてありぬ雨のなか
長谷川かな女【現代語訳】冷たい秋の雨がしとしとと降りしきるなか、葛の花が散らずにまだひっそりと残って咲いている。 【鑑賞】雨に打たれながらも、その色を失わずに残る葛の花に、作者の静かな視線と、どこか芯のある強さへの共感が感じられます。
葛の花のこりてをりぬ山路かな
星野立子【現代語訳】ひっそりとした秋の山道を歩いていくと、もう季節も終わりだというのに、葛の花がまだ残って咲いていたことよ。 【鑑賞】「のこりてをりぬ」という素直な発見の喜びの中に、寂しげな山路でふと出会った残花への、愛おしさと温かな眼差しが込められています。

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