草の香
autumn 植物

草の香

くさのか

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意味・由来

「草の香(くさのか)」は、秋の野山や道端の草から漂う香りを表す季語です。夏のみずみずしく強烈な青臭さとは対照的に、秋の「草の香」は、刈り取られた草や、秋風に吹かれて乾き始めた草から漂う、どこか哀愁を帯びた乾いた芳香を指します。生命の絶頂を過ぎ、枯れゆくもの、あるいは収穫されて役目を終えようとする草木が放つ最期の香りは、日本人の心に優しく、そして少しの寂しさを伴って響きます。

この季語で詠むコツ

「草の香」を詠む際は、目に見えない「香り」をいかに立体的に表現するかが鍵となります。単に匂いがあることを叙述するのではなく、風の冷たさや光の傾き、あるいは馬や衣服といった身の回りのものと取り合わせることで、香りを間接的に引き立てましょう。早朝の澄んだ空気や、夕暮れの湿り気など、時間帯や気象による空気感の変化と結びつけると、より鮮明な情景が浮かび上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 気象・自然: 「風」「露」「夕日」「野分」「朝ぼらけ」
  • 生活・旅: 「道」「馬」「袂(たもと)」「草刈り」「旅衣」
  • 状態・感覚: 「こぼれる」「満つる」「かすか」「身に染む」

草の香」の俳句例 (3件)

草の香や那須の篠原刈りのこし
松尾芭蕉【現代語訳】那須野の篠原を行くと、刈り残された草から爽やかな秋の香りが漂ってくることだ。【鑑賞】芭蕉が『おくのほそ道』の旅の途中で詠んだ句です。広大な那須野の情景と、刈り取られたばかりの草の香りが、旅の詩情を豊かに引き立てています。
草の香や馬の耳より夜の明くる
加藤楸邨【現代語訳】あたり一面に草の香が立ち込める中、ふと見ると馬の耳のあたりから、しらじらと夜が明けてくる。【鑑賞】早朝の澄んだ空気と、夜明けの光、そして草の香りが五感に訴えかける動的な名句です。馬という生き物を通して、自然の息吹が鮮やかに感じられます。
草の香や風に吹かるる道中記
正岡子規【現代語訳】草の香りが漂う野道を行くなか、風に吹かれながら道中記(旅の記録)をめくっている。【鑑賞】子規が旅先で詠んだ、旅情あふれる一句です。心地よい秋風と、鼻腔をくすぐる草の香りが、旅人の心を開放的にさせている様子が浮かびます。

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