狂ひ菊
autumn 植物

狂ひ菊

くるいぎく

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意味・由来

「狂ひ菊(くるいぎく)」とは、本来の開花時期とは異なる季節外れに咲いた菊の花のことです。「狂ひ咲き(返り咲き)」の一種で、夏の盛りや初秋の早い時期に咲いてしまったり、晩秋を過ぎて寒さが本格化する頃にぽつんと咲き出したりする菊を指します。自然のリズムから少し外れて咲くその姿には、健気さとともに、どこか寂しげで妖しい美しさや、はかなさが漂います。季節の移ろいの中で生じる小さな乱れに、人の心の揺らぎを重ね合わせることができる季語です。

この季語で詠むコツ

単に「狂って咲いた」という事実を述べるだけでなく、その花を取り巻く光や空気の質感、周囲の風景とのズレを捉えることが大切です。秋晴れの爽やかな光と季節外れの菊の対比や、葉の枯れかけた庭に一輪だけ咲く哀愁など、情緒的な陰影を意識すると深みが出ます。また、予定調和ではない咲き方に対する驚きや愛おしさを表現するのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 日影、日差し、木漏れ日(狂ひ菊に当たる光の淡さ・寂しさを強調)
  • 庭、障子、縁側(静かな暮らしの空間との取り合わせ)
  • ひと雨、風、霜(天候の変化による儚さの描写)
  • 淋し、あはれ、ぽつりと(心情や佇まいを表す言葉)

狂ひ菊」の俳句例 (3件)

狂ひ咲く菊も有けり霜の秋
小林一茶【現代語訳】霜が降りるような晩秋の寒さの中、季節外れに狂い咲きしている菊の花もあることだよ。 【鑑賞】冷え込みが厳しくなり草木が枯れゆく秋の終わりに、時を違えて咲いた菊を見つけた一茶の句です。厳しい自然環境の中で懸命に咲く狂ひ菊に、自身の不遇な境遇や生への執着を重ね合わせるような温かく哀切な眼差しが感じられます。
狂ひ咲く菊をあはれむ日和哉
正岡子規【現代語訳】時季外れに狂い咲きした菊の花を、愛おしく哀れに思いながら眺める穏やかな小春日和であることよ。 【鑑賞】病床にあった子規が、庭先の狂い咲きの菊に目を留めた句です。穏やかに晴れた良き日(日和)の光と、季節を間違えて咲いてしまった菊の儚い運命とのコントラストが美しく、静かな余情を生んでいます。
狂ひ咲く菊に日のさす障子かな
長谷川素逝【現代語訳】季節外れに咲いた菊の花と、その花に射し込んだ淡い日差しが障子に影を落としている。 【鑑賞】病気療養中の静かな室内の情景です。狂い咲く菊の控えめな存在感と、障子越しに広がる柔らかな光と影の調和が、繊細で透明感のある美しさを生み出しています。

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