枸橘
autumn 生活

枸橘

くきつ

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意味・由来\n「枸橘(くきつ)」は、ミカン科の落葉低木である「からたち」の実を指す秋の季語です。春に白い花を咲かせた後、秋になると直径3〜4センチほどの丸い実が黄色く熟します。鋭く硬い棘(とげ)を枝一面にびっしりと持つため、古くから屋敷や畑の外敵を防ぐ生垣(いけがき)として広く植えられてきました。実は強い芳香を放ちますが、酸味と苦味が非常に強くて生食には適さず、薬用や果実酒などに利用されます。青空に映える鮮やかな黄色と、人を寄せ付けない厳しい棘の対比が印象的な季語です。\n\n### この季語で詠むコツ\n枸橘を詠む際は、丸く熟した黄色の実の美しさと、それを守るかのように突き出た鋭い棘という「優美さと厳しさの二面性」に注目すると句に深みが生まれます。また、かつて防犯用として屋敷町や農村の境界に植えられていた背景から、生垣のある路地や懐かしい生活風景、ふるさとの記憶を想起させる情景描写とも相性が抜群です。実の放つ爽やかな芳香や、棘の痛覚といった五感に訴えかける表現を取り入れるのも効果的です。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・色彩・光:黄(きいろ)、青空、秋日(あきび)、夕日、金\n・情景・場所:生垣(いけがき)、路地、古道、屋敷、廃屋\n・感覚・状態:鋭き棘(とげ)、匂い、痛し、熟る(うる)、こぼる

枸橘」の俳句例 (3件)

からたちの実の熟れて鋭き棘の中
星野立子【現代語訳】からたちの実が黄色く熟しているが、それは鋭い棘の生い茂る中にひっそりとあることだ。【鑑賞】美しく熟したからたちの黄色い実と、周囲を取り囲む攻撃的で鋭い棘の対比を見事に捉えた写生句です。素直な視線の中に、自然の厳しさと美しさが鮮やかに浮き彫りになっています。
枸橘の実に日があたり雨が降り
山口青邨【現代語訳】枸橘の実に秋の陽が差し込んでいるかと思えば、通り雨が降り注いでいる。【鑑賞】秋の変わりやすい天候(狐の嫁入りや時雨模様)の中で、光と雨粒を浴びて艶めく枸橘の実の姿を平明な言葉でリズミカルに詠み上げた秀句です。
からたちの実の黄に澄みし大気かな
松本たかし【現代語訳】からたちの実が鮮やかな黄色に熟し、それを取り巻く秋の大気までもが清らかに澄み渡っていることよ。【鑑賞】鮮やかに色づいた実の黄色が、周囲の乾いて澄んだ秋の空気感を際立たせています。色彩の純度の高さと秋晴れの爽快さが美しく調和した一句です。

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