今年煙草
autumn 植物

今年煙草

ことしたばこ

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意味・由来

「今年煙草(ことしたばこ)」とは、その年の秋に収穫され、新しく製法されて出回った煙草(新煙草)のことです。古くは刻み煙草の新葉を指し、新米や新茶と同じように、その年の実りを味わう「初物」としての特別感と風情を持っています。初秋から晩秋にかけて、新葉ならではの青みを含んだ香りや、吸い口の新鮮さを楽しむ暮らしの季語です。

この季語で詠むコツ

単に煙草を吸う日常を描くのではなく、「今年の新物であること」に対する新鮮な感慨や喜びを表現するのがポイントです。立ちのぼる煙の白さや紫煙の動き、火をつけた瞬間の火の粉の明るさ、あるいは一服したときの独特の香気や味など、五感(視覚・嗅覚・味覚)に焦点を当てて描写すると実感がこもります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 煙・火の描写:紫煙、ひとすじ、生気、火影、ともす
  • 秋の情景・時間:夕日、暮色、秋風、夜長、書斎、縁先
  • 心情・動作:くゆらす、吸ひそむ、味わふ、安らぐ、語らふ

今年煙草」の俳句例 (3件)

今年煙草吹く煙にも生気あり
高浜虚子【現代語訳】今年採れたばかりの新煙草をふかしていると、吐き出す煙にさえ勢いと生命力が満ちあふれているように感じられる。 【鑑賞】新煙草の豊かな風味と新鮮さを、「煙の生気」という鋭い直観で捉えた名句です。実りの秋の活気と、一服の煙草を心から楽しむ作者の充実した心境が伝わってきます。
今年煙草ふかすや夕日濃きまへに
渡辺水巴【現代語訳】今年の新煙草をふかしている。西の空の夕日が濃い茜色に染まるその前で、ゆったりと紫煙をくゆらせている。 【鑑賞】秋の澄んだ空気のなか、濃密に沈んでいく夕日と、そこへ立ちのぼる煙草の煙の色彩の対比が美しい一句です。静かで贅沢な秋の夕暮れのひとときを描き出しています。
今年煙草火をうつくしく点じけり
前田普羅【現代語訳】今年収穫された新煙草に、火を美しく灯しつけたことだ。 【鑑賞】新煙草を吸い始めるときの丁寧で改まった所作と、火口にともる赤い火の美しさに着目した句です。初物を愛でる日本人ならではの繊細な情緒が余すところなく表現されています。

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