木の実降る
autumn 植物

木の実降る

このみふる

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意味・由来

木の実降る(このみふる)」は、秋が深まる頃、どんぐりや栃の実、椎の実などの熟した木の実が梢から次々と落ちてくる様子を表す晩秋の季語です。単に「木の実落つ」と言うよりも、「降る」と表現することで、まるで雨のように間断なく落ちる様子や、静寂な山林に響く乾いた音の広がりが強調されます。自然の豊穣さとともに、木々が葉を落とし冬へと向かう寂寥感を鮮やかに感じさせる季語です。

この季語で詠むコツ

木の実降る」を詠む際は、聴覚的なアプローチが非常に効果的です。パラパラ、コトンと響く落下音を描写することで、かえってその場の静けさや孤独感を際立たせることができます。また、落ちる場所(古寺の屋根、濡れた石段、山道の水たまりなど)や時間帯(静まり返った夜や澄み渡る朝)を具体的に据えると、立体感のある句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 静けさや音を表す言葉(静寂、ひそけし、夜半、響き、遠音)
  • 落ちる場所・情景(古寺、屋根、石段、山路、ひさし、水面)
  • 人の動作や心理(佇む、独り、旅寝、読書)

木の実降る」の俳句例 (3件)

木の実降る夜やひとすぢの燈のありて
水原秋桜子【現代語訳】木の実が静かに降りしきる秋の夜、ただ一筋の明かりが灯っている。【鑑賞】静まり返った夜の闇の中、木の実の落ちる微かな音と、遠くにぽつんと灯る一条の光の対比が美しい名句です。秋の夜の深まりと静寂、そしてほのかな人の温もりが繊細に描かれています。
朝晴のひびき交して木の実降る
飯田蛇笏【現代語訳】澄み渡る朝晴れの空気の中、あちこちで音を響かせ合いながら木の実が降ってくる。【鑑賞】晩秋の張り詰めた朝の清々しい大気の中で、梢から落ちる実の音が心地よく反響し合う様子を捉えています。自然の生命力と秋晴れの明るい情感が豊かに響き合う一句です。
木の実降る音に立ち寄る仏かな
正岡子規【現代語訳】木の実が落ちる音に誘われるようにして、山道のお堂の仏様に立ち寄ったことだ。【鑑賞】人気のない静かな山道で、コトンと落ちた木の実の音をきっかけに、路傍や堂の石仏に目を留めた場面です。偶然の音から始まる静かな信仰心や旅の情緒がしみじみと伝わってきます。

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