木の実落つ
autumn 植物

木の実落つ

このみおつ

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意味・由来

木の実落つ」は、秋が深まり、団栗(どんぐり)や椎(しい)、栃(とち)などの樹木の実が熟して地面に落ちる様子、あるいはその落ちる音そのものを表す秋の季語です。森や庭の静けさの中で、「ポトン」「カラン」と突然響く木の実の音は、深まりゆく秋の訪れと寂寥感を際立たせます。古くから日本の自然の静寂や移ろいを感じさせる情景として愛好されてきました。

この季語で詠むコツ

木の実落つ」を詠む際は、「音」と「静けさ」の対比を意識することが最大のポイントです。ただ木の実が落ちたという事実だけでなく、どこに落ちてどんな音がしたのか(石の上、屋根の上、水面、枯葉の上など)、落ちた後の静寂がどう深まったのかを具体的に描写しましょう。また、人里離れた寺院や山道、人気のない書斎など、孤独感や内省的な気分と重ね合わせると情緒豊かな一句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 音や質感を表す言葉(「トタン」「水輪」「乾く」「しじま」「響き」など)
  • 場所・物(「古寺」「石段」「書斎」「屋根」「茶室」「渓流」など)
  • 動作・心情(「ふと」「耳澄ます」「読みさしの本」「ひとり」など)

木の実落つ」の俳句例 (3件)

木の実落つる夜をひとり寝の僧は如何に
与謝蕪村【現代語訳】木の実が静かな夜にポトポトと落ちているが、山寺で一人寝ている僧は今どんな気持ちでこの音を聞いているのだろうか。 【鑑賞】夜の静寂の中に響く木の実の落下音から、山奥の寺で孤独に修行する僧の心情に思いを馳せた情緒あふれる名句です。
木の実落ちてひるげの椀の鳴りにけり
川端茅舎【現代語訳】木の実が落ちてきて、昼食のお椀に当たって澄んだ音を立てたことだ。 【鑑賞】屋外での昼餉(昼食)の最中に、予期せぬ木の実の落下がお椀を鳴らした瞬間を鮮やかに切り取っています。日常の中の小さな驚きと、秋の澄んだ空気が伝わります。
木の実落つ静けさ風のなかりしに
高浜虚子【現代語訳】風が吹いているわけでもないのに木の実が落ちてきて、その後の静けさがいっそう際立っている。 【鑑賞】風のない完全な静寂の中で、熟した実が自然と落ちる一瞬を捉えています。音の後に訪れる圧倒的な静けさが「木の実落つ」という季語の魅力を引き立てています。

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