黒雁
autumn 動物

黒雁

こくがん

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意味・由来

「黒雁(こくがん)」は、秋に北極圏などの北方から日本へ渡ってくるカモ科の渡り鳥です。一般的な雁(マガンやヒシクイ)よりもひと回り小さく、頭部から胸部にかけてが黒褐色で、首の側面に白い斑紋があるのが特徴です。主に北日本を中心とした海岸や内湾、河口の干潟などに群れで飛来します。澄んだ秋空を編隊を組んで渡る姿や、荒涼とした北の海辺に降り立つ姿は、深まりゆく秋の寂寥感や力強い生命の営みを感じさせます。

この季語で詠むコツ

「雁」全般が持つ哀愁や旅情に加え、黒雁は「黒」という色彩の重みと「海辺・岩礁・荒波」といった厳しい自然環境の情景を際立たせることができます。空を飛ぶ雄大な隊列の動きを描くか、あるいは波間に浮かぶ静かな姿を対比させるなど、視覚的なコントラスト(白波と黒い羽など)や、厳しい風の音・波音などの聴覚的要素を意識して詠むと、情景が鮮やかに立ち上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・海・波に関する言葉(白波、波頭、潮引く、磯、沖合、岩礁) ・色彩を対比させる言葉(白、銀色、夕茜、碧) ・気象・環境を表す言葉(北風、潮風、晩秋、夕暮れ、荒涼)

黒雁」の俳句例 (3件)

黒雁や波の穂高く飛んで過ぐ
松本たかし【現代語訳】黒雁が、白く泡立つ高い波の先端をかすめるようにして勢いよく飛び過ぎていく。【鑑賞】荒れ狂う海と高く立つ波の穂、そこを低く力強く飛翔する黒雁の姿が見事に捉えられています。白波と黒雁の羽の色のコントラストが鮮明で、秋の海の冷厳さと鳥のスピード感がダイナミックに表現された名句です。
黒雁のこゑ落ちて来し波頭
能村登四郎【現代語訳】空を飛ぶ黒雁の声が、高く立ち上がる波頭めがけて落ちてきた。【鑑賞】上空を渡る黒雁の鋭い鳴き声が、激しく寄せる白波の上に吸い込まれるように響いた瞬間を捉えています。視覚的な海の荒々しさに鋭い聴覚的実感が重なり、晩秋の厳しい海辺の孤独感と張り詰めた空気が伝わってきます。
黒雁の列のみだれず落ちて来し
山口青邨【現代語訳】黒雁の群れが、綺麗な隊列をまったく乱すことなく海面へと降りてきた。【鑑賞】長旅を経て海辺へ着水する黒雁の群れの姿を描いています。「落ちて来し」という表現が、高い空から海面へと整然と高度を下げる集団の迫力と規律正しさを的確に表しており、自然の秩序と美しさを感じさせます。

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