菊の主
autumn 植物

菊の主

きくのあるじ

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意味・由来

「菊の主(きくのあるじ)」とは、秋を代表する花である「菊」を、精魂込めて栽培し、愛でている持ち主や作者のことです。菊は古来より「高潔」の象徴であり、江戸時代には空前の菊ブームが起き、品種改良や菊人形などの文化が発展しました。このように熱心に菊を育てる人々は「菊の主」と呼ばれ、単なる所有者というだけでなく、花に対して深い愛情と執念を持って接する人物像として親しまれてきました。季語としては、菊の花そのものだけでなく、それを育てる「人」の暮らしや情熱、個性、そして彼らが醸し出す秋の風情にまで焦点を当てる言葉です。

この季語で詠むコツ

「菊の主」を詠む際は、菊の美しさを直接描写するよりも、それを育てる「主」の佇まいや性格、生活感を表現するのがコツです。どのような人がどのような気持ちでこの菊を育てているのか、その背景を想像させるように詠みます。例えば、手の汚れや、菊を愛おしそうに見つめる眼差し、あるいは一見ぶっきらぼうに見える人物の繊細なこだわりなど、「人と花」の結びつきに焦点を当てることで、一句に深いドラマが生まれます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 道具や動作に関する言葉:「鋏(はさみ)」「水やり」「手折る」「括る(くくる)」「見回る」
  • 主の人格や外見を表す言葉:「頑固」「静か」「寡黙」「白髪」「手」「影」
  • 時間や空間を表す言葉:「庵(いおり)」「庭」「日差し」「夕暮れ」「去年(こぞ)」

菊の主」の俳句例 (3件)

菊の主すこしは菊に似たりけり
小林一茶【現代語訳】見事に菊を咲かせているその持ち主をふと見ると、不思議なことに、その容姿や雰囲気が、自分で育てている菊の花にどこか少し似ていることだよ。【鑑賞】丹精込めて菊を育てる主人の姿が、まさにその菊と一体化しているような微笑ましさと、一茶ならではの人間味あふれる優しい観察眼が光る一句です。
菊の主顔の大いなる人であり
高浜虚子【現代語訳】丹精された見事な大輪の菊を鑑賞していたところ、その菊の持ち主が現れた。見ると、その人もまた、咲き誇る大輪 of 菊のように大変大きな顔をした人物であった。【鑑賞】大輪の菊の圧倒的な存在感と、それを育てた主人の大柄で愛嬌のある容姿をダイレクトに対比させ、主人の素朴で温かみのある個性をユーモラスに描き出しています。
菊の主去年の手紙を読みをりぬ
安住敦【現代語訳】見事な菊を育てる主人が、静かな秋の日に、ふと去年の手紙を取り出して読みふけっている。【鑑賞】美しく整えられた菊の持ち主が、ふと見せる静かで私的な瞬間をとらえています。「去年の手紙」という歳月の経過を感じさせるアイテムが、秋の寂静感と、主人の内面にある切なさや思い出を上品に浮かび上がらせています。

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