菊くらべ
autumn 植物

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意味・由来

「菊くらべ(きくくらべ)」は、秋に愛好家たちが丹精込めて育て上げた菊を持ち寄り、その美しさや気品、咲きぶりを競い合う行事やその情景を指す晩秋の季語です。「菊合(きくあわせ)」や「菊競ふ(きくきそう)」とも言います。古くは平安時代の宮中行事である「菊合」に由来し、当時は菊の美しさとともに添えられた和歌の優劣も競いました。江戸時代には庶民の間で菊花の栽培が大流行し、現代でも全国各地の神社や公園で菊花展や菊人形展として親しまれています。

この季語で詠むコツ

単に「菊の花が美しい」と写実するだけでなく、競い合う場ならではの「緊張感」や「晴れやかさ」、丹精した人々の「誇り」や「情熱」を捉えるのがポイントです。審査員の真剣な眼差し、整然と並ぶ鉢植えの立ち姿、会場を包む芳醇な菊の香りなど、五感を意識すると臨場感のある句に仕上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・感情や様子を表す言葉(丹精、誇り、晴れやか、気高し、真面目、競ふ) ・会場や視点を表す言葉(審査、名札、立ち姿、ひと鉢、色、香)

菊くらべ」の俳句例 (3件)

菊競ふ色のまことの深からむ
山口青邨【現代語訳】数々の菊が美しさを競い合っているが、真に素晴らしい菊の色合いというのは、吸い込まれるような奥深い色をしているのだろう。【鑑賞】ずらりと並ぶ華やかな菊花の中で、表面的ではない「本当の色の深み・気品」に着目した、品格漂う名句です。
菊合やひとつの鉢の高さかな
正岡子規【現代語訳】菊くらべの会場で、立ち並ぶ花々の中にふと際立った一鉢があり、その背の高さ(そして気高さ)に惹きつけられることだ。【鑑賞】競い合いの場において、一際存在感を放つ一鉢を素直な眼差しで捉え、そのすっと伸びた美しい立ち姿を印象的に表現しています。
菊合ひや丹精の差の微かなる
松本たかし【現代語訳】菊を持ち寄って美しさを競い合っているが、どれも丹精込めて育てられた逸品ばかりで、その出来栄えの差は実に僅かなものだ。【鑑賞】出品されたどの菊にも深い情熱が注がれており、甲乙つけがたい高水準な争いであることを見抜いた、育て手への敬意に満ちた一句です。

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