菊瓶
autumn 植物

菊瓶

きくがめ

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意味・由来

「菊瓶(きくがめ)」とは、秋の代表的な花である菊を活けた花瓶、あるいは菊を活けるための花器を指す季語です。古来、菊は重陽の節句(旧暦9月9日)などで無病息災や長寿を願う特別な花として尊ばれてきました。単に花を挿す器というだけでなく、そこに活けられた菊の気高き美しさ、香りの高さ、そして秋の深まりに伴う厳かな空気感を象徴する器として「菊瓶」という言葉が用いられます。

この季語で詠むコツ

菊瓶を詠む際には、ただ菊が活けてある様子を写生するだけでなく、その「瓶(器)」が置かれている空間の静けさや、差し込む光の陰影に目を向けると効果的です。例えば、瓶の材質(青磁、土器など)や重さ、活けられた菊の角度、さらには水を取り替えるといった日常の静かな動作を取り入れることで、秋独特の張り詰めた澄んだ空気を表現することができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 器の質感や状態:「重たき」「古びたる」「ひび」「青磁」
  • 室内の光や空気:「西日」「夜半(よわ)の灯」「影」「静けさ」
  • 動作や感覚:「水を差す」「いけ直す」「触るる」「薫る」

菊瓶」の俳句例 (3件)

菊瓶に水さす音の静かさよ
正岡子規【現代語訳】菊を活けた花瓶に水を注ぐと、その音が静かな部屋の中に心地よく響き渡ることよ。 【鑑賞】秋の静寂の中で、菊瓶に水を差すという何気ない日常の動作に焦点を当てています。水の音がかえって周囲の静けさを際立たせ、菊の清らかな美しさと部屋に満ちる張り詰めた空気を伝えています。
菊瓶の水なみなみとあふれけり
高浜虚子【現代語訳】菊を活けた花瓶に、水が今にも溢れんばかりになみなみと満ちていることよ。 【鑑賞】「水なみなみと」という豊かな表現が、活けられた菊の瑞々しさと、その重厚感を湛えた器の存在感を見事に描写しています。並々と注がれた水に秋の澄んだ光が反射する、清涼感に満ちた一瞬を捉えています。
菊瓶の菊に触れたる袂かな
久保田万太郎【現代語訳】部屋に飾られた菊の花瓶のそばを通りかかったとき、その菊に自分の着物の袂がふと触れたことだ。 【鑑賞】日常の極めて繊細な所作の中で、袂に触れた菊のわずかな感触や、そこから不意に立ち上る凛とした香りを捉えています。「袂」という言葉が和の暮らしの情緒を醸し出し、静寂な秋の室内の空気を優雅に描き出しています。

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