吉祥草
autumn 植物

吉祥草

きちじょうそう

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意味・由来

「吉祥草(きちじょうそう)」は、秋にひっそりと薄紫や淡紅色の小さな花を咲かせるユリ科(キジカクシ科)の常緑多年草です。「吉祥」とはめでたい兆しを意味し、この花が咲くとその家に良いこと(吉事)が訪れるという中国の伝説が名前の由来となっています。常緑の細長い葉の間に隠れるように咲くため、注意深く見ていないと見落としてしまうほどの控えめな花ですが、その可憐さと縁起の良さから、古くから庭木や茶庭などに好んで植えられてきました。

この季語で詠むコツ

吉祥草は、名前に反して非常に目立たず、日陰の湿った場所を好んで育ちます。そのため、きらびやかで大げさな喜びを詠むよりも、日常生活の中にある「ささやかな幸せ」や「静かな喜び」に焦点を当てるのがコツです。また、常緑の青々とした葉の陰にひっそりと咲く花の佇まいや、その控えめな美しさに気づいた時の驚きを写生(写実的に描写)するのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

・「庭隅」「日陰」「木漏れ日」「古寺」「垣根」といった、ひっそりとした場所を示す言葉 ・「気づく」「知らせる」「微笑む」などの、小さな変化に気づく人の動作 ・「安穏」「平穏」「無事」などの、ささやかで穏やかな日常を表す言葉

吉祥草」の俳句例 (3件)

吉祥草咲きぬと妻のいふ日かな
高浜虚子【現代語訳】「吉祥草が咲きましたよ」と、妻が知らせてくれた。そんなささやかで穏やかな一日であることよ。【鑑賞】咲くと吉事があると言われる吉祥草。その開花を妻が見つけて知らせてくれたという、日常の中にある何気ない幸福感と夫婦の穏やかな信頼関係が、この季語本来の「めでたさ」と見事に重なり合っている名作です。
吉祥草咲くやあかるき木蔭より
水原秋桜子【現代語訳】暗い木陰のなかで、まるそこだけがぽっと明るくなったかのように、吉祥草の花が咲いていることよ。【鑑賞】日陰にひっそりと咲く吉祥草ですが、その可憐な薄紫の花は、暗い木陰を優しく照らすような存在感を放ちます。「あかるき木蔭」という言葉選びによって、花の瑞々しさと静かな生命の輝きが際立っています。
吉祥草咲きてその年の安穏なる
富安風生【現代語訳】吉祥草の花が咲いて、今年も我が家は無事に、穏やかに暮らすことができそうだ。【鑑賞】吉兆をもたらす吉祥草が今年も咲いてくれたことへの感謝と、一年の無事平穏(安穏)を実感する素直な心が詠まれています。劇的な事件ではなく、ただ家族が平穏であることへの祈りと喜びが、吉祥草という季語に深く寄り添っています。

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