螻蛄鳴く
autumn 動物

螻蛄鳴く

けらなく

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意味・由来

「螻蛄鳴く(けらなく)」は、秋の夜にオケラ(ケラ)が地中で「ジー」と低く鳴く声を指す三秋の季語です。昔は地中から聞こえるこの声をミミズが鳴いているものと誤認されることもありましたが、実際はオケラの羽の摩擦音です。姿は見えないものの、土の底や建物の床下からかすかに響くその音は、秋の夜の深まりや静けさ、もの寂しさを際立たせる風情として古くから親しまれてきました。

この季語で詠むコツ

「地中から響く微かな音」という特徴を活かし、周囲の静けさや闇、孤独感と対比させて詠むのが効果的です。視覚的な派手さではなく、聴覚や触覚(土の湿り気、秋の冷気など)に意識を向け、夜の更けていく時間経過や、部屋の片隅で静かに過ごす心理描写を重ねると深みのある句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 場所・空間:土の底、畳、床下、古庭、机の下、暗がり
  • 情景・時間:夜更け、灯影、夜気、しじま、秋草の根
  • 心情・状態:独坐、微かな音、寂寞、冷え

螻蛄鳴く」の俳句例 (3件)

螻蛄鳴くや夜は夜とて灯を遠く
小林一茶【現代語訳】螻蛄が地中で鳴いている。夜は夜として静かに受け入れようと、灯火を遠くに置くことだ。 【鑑賞】秋の夜長、土の底から響く螻蛄の声を聞きながら、灯りを遠ざけて闇と静寂に身を委ねている情景です。一茶特有の孤独感と、夜の寂けさに寄り添うような静かな諦念が滲み出ています。
螻蛄鳴くや土の底なる夜の秋
正岡子規【現代語訳】螻蛄が鳴いている。まさに土の底深くに秋の夜が訪れているのだ。 【鑑賞】地上だけでなく、見えない土の中にも確かに秋が満ちていることを、螻蛄の鳴き声から捉えた句です。「土の底なる夜の秋」という空間的な深まりの表現が、秋の静寂と重厚感を際立たせています。
螻蛄鳴くや机の下の夜の底
加藤楸邨【現代語訳】螻蛄が鳴いている。自分が向かっている机の下が、まるで深い夜の底に繋がっているようだ。 【鑑賞】深夜に机に向かって思索や作業をしている作者の足元から、微かに螻蛄の声が聞こえてきます。「机の下」という身近な日常の空間を「夜の底」と結びつけることで、内省的な深みと孤独感を鮮烈に描き出しています。

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