玄圃梨
autumn 植物

玄圃梨

けんぽなし

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意味・由来

「玄圃梨(けんぽなし)」は、クロウメモドキ科の落葉高木になる実(正しくは肥厚した果柄)を指す秋の季語です。「玄圃」とは、中国の神話で仙人が住むとされる霊山・昆侖山(こんろんさん)の庭園のことで、その不思議な形と甘さから仙境の果実に見立てて名付けられました。秋になると、サンゴ状に曲がりくねった柄の部分が肉厚に太くなり、熟すと梨のような甘い芳香と風味を持ちます。見た目の奇妙さと、噛んだときの意外な甘みが特徴の山の幸です。

この季語で詠むコツ

玄圃梨の最大の面白さは、その独特な「曲がりくねった形状」と「野生の素朴な甘さ」にあります。山道や森の中にぽろぽろと落ちている様子や、歩きながら口に含んだときの甘酸っぱさ、それを目当てに集まる小鳥や小動物など、山の澄んだ空気感(山気)や静けさとともに描写すると臨場感が出ます。視覚的なユニークさだけでなく、味覚や触覚を働かせて詠むのがコツです。

相性のいい言葉・取り合わせ

・山歩き・自然の描写(山路、杣道、峠、木漏れ日、落葉) ・五感の言葉(噛む、甘し、渋み、香る、拾ふ) ・秋の鳥や動物(小鳥、渡り鳥、鵯、リス)

玄圃梨」の俳句例 (3件)

ケンポ梨噛みて山気の澄みにけり
飯田蛇笏【現代語訳】ケンポナシの実を口に含むと、秋の澄んだ山の気配がいっそう清々しく感じられることだ。 【鑑賞】山歩きの中でケンポナシの自然な甘みを味わう瞬間と、秋の深まりとともに張り詰めていく山の空気感(山気)を五感で捉えた、格調高く爽快な一句です。
玄圃梨落ちて鳥語のしげき森
松本たかし【現代語訳】玄圃梨が熟して落ち、それを啄ばみに集まった鳥たちの鳴き声が森いっぱいに賑やかに響いている。 【鑑賞】甘く熟した玄圃梨の実を求めて小鳥たちが森に集まってくる様子を描いています。静けさの中に鳥たちの声が満ち、豊かな自然の営みと深まりゆく秋の情景が鮮やかに立ち現れます。
ケンポ梨降るや小鳥の渡る頃
水原秋桜子【現代語訳】ケンポナシが熟して頭上から落ちてくる。ちょうど小鳥たちが渡っていく秋の季節であることだ。 【鑑賞】熟した実が木からぽろぽろと落ちる動きと、秋の空を群れて渡っていく小鳥たちの姿を巧みに取り合わせています。秋の澄んだ空気と空間の広がりが美しく表現されています。

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