萱刈る
autumn 生活

萱刈る

かやかる

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意味・由来

「萱刈る(かやかる)」は、秋の終わりから初冬にかけて、茅葺き屋根の葺き替え資材や、家畜の冬の飼料、炭俵の材料とするために、野山の萱(ススキやチガヤなどの総称)を刈り取る作業を指します。かつて日本の農村では、共同体で「萱場(かやば)」を管理し、冬を乗り切るための重要な共同作業としてこれを行っていました。刈り取った萱が野原に束ねられて立てかけられる様子は、日本の原風景として哀愁と温かみを湛えています。

この季語で詠むコツ

萱刈りは、単なる農作業の描写にとどまらず、季節の推移や冬の到来を告げる生活の知恵を表現するのに適しています。萱を刈る際の「ザクザク」という小気味よい音や、刈り取られた草の乾いた匂い、遮るものがなくなって徐々に広がっていく山の視界など、五感に訴えかける描写を意識すると、臨場感のある生き生きとした句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 労働や身体の感覚を表す言葉(鎌、背負う、束ねる、汗、乾く)
  • 晩秋の自然の移ろい(夕日、乾いた風、遠山、暮れ急ぐ、影)
  • 刈り跡の風景(広野、切り株、日の光)

萱刈る」の俳句例 (3件)

萱刈りてしばらくひろき一山かな
飯田蛇笏【現代語訳】萱をすっかり刈り取って、遮るものがなくなったため、その山全体がしばらくの間、広々と見渡せるようになったことだ。【鑑賞】萱が刈られたことで一気に視界が開け、山の本来の骨格が露わになった様子をダイナミックにとらえています。秋から冬へと移り変わる自然の寂寞感と開放感が同居する名句です。
萱刈に暮れゆく山のみな動く
大野林火【現代語訳】萱を刈る作業に追われているうちに日が暮れていき、周囲の山々の影が一斉に動き出すかのように迫ってくる。【鑑賞】夕暮れ時の山の表情の変化を「みな動く」とダイナミックに表現しています。暗闇が忍び寄る自然の気配と、それに取り囲まれながら働く人の焦燥感が巧みに描かれています。
萱刈るや日かげになりし奥の谷
細見綾子【現代語訳】萱を刈っていると、いつの間にか谷の奥深くは日が当たらなくなり、薄暗い影に包まれてしまったことだ。【鑑賞】晩秋の日の短さを、谷間に落ちる影という視覚的変化によって鮮やかに描き出しています。萱刈りという労働を通じて、季節の移ろいと冷え冷えとした空気感が伝わってくる繊細な一句です。

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