鎌切
autumn 生活

鎌切

かまきり

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意味・由来

「鎌切(かまきり)」は、秋の季語として古くから親しまれています。別名「蟷螂(とうろう)」とも呼ばれ、逆三角形の頭部にぎょろりとした大きな眼、そして獲物を捕らえるための鎌のような前脚(前肢)が最大の特徴です。秋になると、草むらや庭先、時には家屋の網戸などに現れ、じっと身を潜めて獲物を待ち伏せします。その風貌はどこかユーモラスでありながら、冷徹なハンターとしての凄みも兼ね備えており、秋の澄んだ空気感や寂寥感と深く結びついています。

この季語で詠むコツ

鎌切を詠む際は、その「静」と「動」の対比に着目するのがコツです。じっと動かずに構えている緊張感のあるポーズや、突然鎌を繰り出す俊敏な動きを、写生の手法でリアルに描写してみましょう。また、秋が深まるにつれて動きが鈍くなり、枯れ色を帯びていく鎌切の姿に、季節の移ろいや命の哀愁を投影するのも非常に効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 動作・姿勢を表す言葉:「構える」「祈る」「睨む」「身を起こす」「威嚇」
  • 質感や色彩に関する言葉:「緑」「枯色(かれいろ)」「ガラスの眼」「細き脚」
  • 状況や場所を表す言葉:「網戸」「庭石」「枯れ草」「風の音」「秋霖(しゅうりん)」

鎌切」の俳句例 (3件)

蟷螂の眼のつめたきに堪へてあり
山口誓子【現代語訳】カマキリの、冷たく緑色に澄んだガラスのような凝視に、私は思わず身をすくめて耐えている。 【鑑賞】カマキリ特有の冷徹な眼差しと、それに対峙する作者の無言の緊張感が描かれています。無機質で冷ややかな昆虫の視線を通じて、秋という季節の冷気と、命の対峙の厳しさを感じさせる一句です。
蟷螂や馬の尿する前足に
小林一茶【現代語訳】大きな馬が放尿しているそのすぐ傍ら(前足のあたり)で、カマキリが果敢にも鎌を振り上げて威嚇していることよ。 【鑑賞】「蟷螂の斧」の故事を思わせる、巨大な存在に立ち向かうカマキリの滑稽さと逞しさを一茶らしい視線で捉えた句です。馬の放尿という卑俗な光景の中に、小さな命の猛々しい主張が生き生きと描かれています。
蟷螂や一草を去る一大事
加藤楸邨【現代語訳】一匹のカマキリが、いま一枚の草の葉から立ち去ろうとしている。それはまるで、この虫にとって自らの命運をかけた一世一代の重大事件であるかのように見える。 【鑑賞】カマキリの一挙手一投足に漂う、張り詰めたような緊張感を「一大事」と言い留めた名句です。小さな虫の短い一生における必死の営みを、敬意を込めてユーモラスに描き出しています。

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