梶葉の歌
autumn 植物

梶葉の歌

かじのはのうた

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意味・由来

「梶葉の歌(かじのはのうた)」は、秋(初秋・七夕)の季語です。古来、七夕の節句(乞巧奠:きっこうてん)において、梶(かじ)の木の葉に和歌や願い事を書き、星に祈るという風雅な習わしがありました。梶の葉は、裏面に細かい毛が生えており、墨ののりが非常に良いことから、天然の短冊として重宝されたのです。また、タライや鉢に水を張り、そこに梶の葉を浮かべて墨をすり、歌をしたためるというロマンチックな儀式もありました。この美しい伝統や、そこで詠まれる歌そのものを指す、非常に情趣溢れる季語です。

この季語で詠むコツ

この季語を詠む際は、単に古い風習を説明するだけではなく、手触りや視覚的な美しさを意識することが大切です。例えば、梶の葉独特の大きな切れ込みのある形状、墨の濡れたような黒と葉の青(緑)の鮮やかな対比、そして水や夜風といった、七夕の夜を取り巻く涼しげな自然環境を具体的に描写すると、より臨場感のある句になります。また、現代にあえてこの風習を行う「丁寧な暮らし」や、過去への憧憬の念を込めるのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 書道・筆記に関わる言葉:墨(すみ)、硯(すずり)、筆(ふで)、一滴、みづがね
  • 七夕の星や夜を想起させる言葉天の川、星影、夜風、冷ややか、銀河
  • 水の情景:水盤、タライ、雫(しずく)、揺るる、水影

梶葉の歌」の俳句例 (3件)

梶の葉やなまめきすぐる水の上
立花北枝【現代語訳】水鉢の水の上に浮かべられた梶の葉は、どこか艶めかしく、あまりにも優美に漂っていることよ。【鑑賞】七夕の夜に硯の水を張ったタライや鉢に、梶の葉を浮かべる習慣を捉えています。水面に浮かぶ梶の葉の、みずみずしくも妖艶な美しさが巧みに表現されています。
梶の葉に書きおはせたる歌のさま
正岡子規【現代語訳】梶の葉に美しく書きつけられた和歌のその筆跡や佇まいは、なんと風雅で素晴らしいことだろう。【鑑賞】古の宮中行事や美しい風習を追懐し、実際に梶の葉に書かれた歌の文字の美しさ、そしてその風情に深い敬意と憧れを抱いて詠んだ句です。品格のある表現が、梶の葉の歌にふさわしい静かな感動を呼んでいます。
梶の葉に書く夜の風の涼しさよ
加舎白雄【現代語訳】七夕の夜、梶の葉に墨で歌を書いていると、そよそよと吹き抜ける夜風がなんと涼しく心地よいことだろう。【鑑賞】梶の葉を七夕の短冊に見立てて歌を書くという、古風で雅な風習を詠んだ一句です。静かに墨をすり、葉に向き合う瞬間に、ふと肌を撫でる秋の初めの夜風の涼しさが、静寂の中に際立っています。

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