? - 1718年

立花北枝

たちばなほくし

作風・特徴

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生涯・略歴

立花 北枝(たちばな ほくし、? - 享保3年5月12日(1718年6月10日))は、江戸時代前期から中期の俳人。蕉門十哲の一人。通称は研屋源四郎。

代表句 (8件)

鹿妻草こぼるる露にふかれけり
季語: 鹿妻草 (autumn)
【現代語訳】萩(鹿妻草)の花や葉からこぼれ落ちる露が、吹き抜ける秋風に心地よく揺さぶられていることよ。【鑑賞】江戸中期の俳人、立花北枝による軽妙で美しい一句。風が吹くたびに、萩の細い枝からきらきらと露がこぼれ落ちる一瞬の美しさを捉えています。露が風に吹かれているという主客の描き方が絶妙で、露そのものが風と戯れているかのような、瑞々しくもはかない一瞬を切り取っています。
月よき日桂の宮の相撲かな
季語: 桂の宮相撲 (autumn)
【現代語訳】とりわけ月が美しく輝く素晴らしい夜に、桂の宮の相撲が行われていることである。 【鑑賞】桂の地といえば、古くから観月の名所として知られています。その最も美しい秋の月夜に、神聖な宮相撲が執り行われる贅沢さと風流さを素直に詠んでいます。天上の美しい月と、地上のたくましい相撲の対比が印象的です。
蒲の絮やこぼれかかりて風を待つ
季語: 蒲の絮 (autumn)
【現代語訳】蒲の穂から綿のような絮が今にもこぼれ落ちそうになって、そよ風が吹いてくるのをじっと待っている。【鑑賞】蒲の穂が熟し、その絮が今にも風に吹かれて飛び立とうとする、その一瞬の静寂と緊張感を捉えた名句です。自然のダイナミズムが繊細に描かれています。
梶の葉やなまめきすぐる水の上
季語: 梶葉の歌 (autumn)
【現代語訳】水鉢の水の上に浮かべられた梶の葉は、どこか艶めかしく、あまりにも優美に漂っていることよ。【鑑賞】七夕の夜に硯の水を張ったタライや鉢に、梶の葉を浮かべる習慣を捉えています。水面に浮かぶ梶の葉の、みずみずしくも妖艶な美しさが巧みに表現されています。
肌寒し障子の穴に吹く風も
季語: 肌寒 (autumn)
【現代語訳】肌寒く感じられることだ。障子の小さな破れ穴から吹き込んでくる、ほんのわずかな風でさえも身に沁みる。【鑑賞】破れた障子の隙間から入る秋の風に、季節の移り変わりと肌に伝わる冷気を敏感に捉えた、日常のリアリティがある一句です。
湯婆にぬくもる足のゆくへかな
季語: 湯婆 (winter)
【現代語訳】布団の中で、湯婆でじんわりと温まっている私の足は、このあとどこへ落ち着くのだろうか。\n【鑑賞】寒い冬の夜、布団の中で温かい湯婆を探し求め、無意識にそこに足を寄せていく何気ない仕草を、ユーモラスかつ実感豊かに詠んだ一句です。暗闇の中での「足のゆくえ」という表現が、身体感覚のリアルさを絶妙に捉えています。
雁の衣まだ一重なる夕哉
季語: 雁の衣 (autumn)
【現代語訳】渡ってきたばかりの雁の衣は、まだ一重(単衣)のように軽やかに見える夕暮れ時であることよ。【鑑賞】まだ本格的な寒さが来る前の初秋の夕暮れを、薄手の「一重の衣」に例えて描き出しています。季節の微妙な移り変わりを繊細に捉えた情緒ある表現です。
菊牛のよだれに菊の匂ひかな
季語: 菊牛 (autumn)
【現代語訳】角に菊を飾られた牛がだらりとよだれを垂らしているが、そのよだれからさえも不思議と気高い菊の香りが漂ってくるようだ。【鑑賞】牛という泥臭い動物の「よだれ」と、格調高い「菊の香り」を対比させた、諧謔(ユーモア)に富んだ一句です。おめでたいお祭りののどかさと、庶民的な視点からの温かい眼差しが感じられます。