梶の葉衣
autumn 生活

梶の葉衣

かじのはごろも

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意味・由来

梶の葉衣(かじのはごろも)」は、秋(特に初秋の七夕)の季語です。古来、七夕の行事では梶(かじ)の葉に和歌や願い事を書く風習がありました。梶の木は古くから神聖な木とされ、その繊維から衣服(梶衣・かじころも)が作られていた歴史や、七夕の織女が織る美しい衣のイメージ、さらには梶の葉そのものを身にまとうような風雅な見立てから「梶の葉衣」という雅名が生まれました。七夕のロマンチックな伝説や、秋の夜の神秘的な美しさを象徴する非常に情緒豊かな言葉です。

この季語で詠むコツ

梶の葉衣」を詠む際は、単なる衣服や植物の描写にとどまらず、七夕の伝説に宿るロマンや、天上世界のきらびやかさを重ね合わせるのがコツです。「衣」という言葉が持つ、身にまとう感覚や肌ざわり、夜風に揺れる軽やかさなどを意識し、天の川や星空といった壮大な背景と取り合わせることで、地上にいながらにして天上の世界へと想像力を広げるダイナミックな句が生まれます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 天の川、星月夜、天の原(広大な夜空を想起させる言葉)
  • 織る、染める、風、露(衣の質感や季節の移ろいを感じさせる言葉)
  • 筆、墨、硯、文(梶の葉に願いを書く手習いの文化を連想させる言葉)

梶の葉衣」の俳句例 (3件)

梶の葉の衣をいそぐ夜もあらん
加藤暁台【現代語訳】七夕が近づくこの時期、織女が梶の葉の衣を仕立てるために、夜遅くまで忙しく織り機を動かしている、そんな夜もあるのだろう。【鑑賞】織女が天上の世界でせっせと衣を織る気配を、地上の静かな秋の夜に重ね合わせて想像した風雅な句です。見えない天上の営みに思いを馳せることで、夜の静寂が一そう深まるように感じられます。
梶の葉の衣や着せん天の川
加舎白雄【現代語訳】美しく輝く天の川のほとりで、織女にあの風雅な梶の葉の衣を着せてあげたいものだな。【鑑賞】江戸中期の俳人・白雄が七夕の夜に詠んだ、非常にロマンチックで優美な一句です。天の川の美しいきらめきと、伝説の織女がまとう空想の「梶の葉衣」が完璧に調和し、読者を一瞬にして幻想的な世界へ誘います。
梶の葉の衣を借らん天の川
正岡子規【現代語訳】七夕の今夜、織女が身にまとっているという梶の葉の衣を少しばかり借りて着てみたいものだ、この美しい天の川の下で。【鑑賞】子規が七夕の夜空を見上げながら、古典的な趣向を現代的なユーモアと憧れをもって詠んだ句です。伝説の衣を「借りてみたい」という無邪気な願いが、星空を見上げる作者の素直な驚きと喜びを表しています。

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