岩茸採り

岩茸採り

いわたけとり

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意味・由来\n「岩茸採り(いわたけとり)」は、初秋から秋にかけて深山の険しい断崖絶壁に自生する地衣類の一種「岩茸」を採取する行事・作業を指す三秋の季語です。岩茸は成長に数十年から百年以上もかかる貴重な珍味ですが、垂直に切り立った岩肌にしか生えないため、採集者は山頂から藤蔓や頑丈な命綱一本で身体を吊り下げ、宙づりになって命がけで採取します。その命を賭した作業の厳しさ、深山幽谷の自然の雄大さと人間の小ささが際立つ季語です。\n\n### この季語で詠むコツ\n断崖絶壁の圧倒的な高度感、張り詰めた緊張感、そして作業を見守る側の静寂を表現するのがポイントです。採集者の勇敢さだけでなく、下を覗いたときの目もくらむような谷底の深さや、吹きつける秋風の冷気、岩肌の感触などを具体的に描写すると、臨場感あふれる句になります。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・命綱、藤蔓、岩肌、断崖、絶壁、谷底、深山\n・秋風、白雲、霧、こだま、晴嵐、青空\n・吊る、へばりつく、揺れる、覗く、渡る

岩茸採り」の俳句例 (3件)

岩茸をとるやから身をうすけぶり
服部嵐雪【現代語訳】断崖で岩茸を採っている人の身の周りを、薄い煙のような霧がかすかに漂っていることだ。\n【鑑賞】『猿蓑』に収められた名句。険しい山気と霧の中に浮かぶ採集者の姿を「から身(身一つ、身軽な体)」「うすけぶり(薄煙・薄霧)」という繊細な言葉で捉え、命がけの緊張感の中に幽玄な美しさを醸し出しています。
岩茸や命をからむ藤の綱
内藤丈草【現代語訳】岩茸を採るために、命を預けて巻きつけている一本の藤の綱よ。\n【鑑賞】絶壁に生える岩茸を採るため、藤蔓で作った綱一本に己の命を託す採集者の張り詰めた気迫を描いています。道具の素朴さと命の重みの対比が際立つ、力強い一句です。
岩茸採宙に遊べる如くなり
前田普羅【現代語訳】岩茸採りの人が断崖の宙にぶら下がり、まるで空中を自在に遊んでいるかのように見える。\n【鑑賞】下から見上げる作者の視線が捉えた光景です。実際には命がけの危険な作業であるにもかかわらず、遠目にはまるで軽やかに宙を舞っているかのように見える驚きと雄大さを、普羅らしいスケール感で詠んでいます。

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