烏賊襖

烏賊襖

いかぶすま

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意味・由来

「烏賊襖(いかぶすま)」とは、開いたスルメイカなどの皮や肉を薄く平らに張り合わせ、乾燥させて作った寝具(掛け布団や夜着)のことです。昔の漁村などで、防寒用や雨風をしのぐために実用されていたもので、独特の潮の匂いと素朴な風情があります。秋から冬にかけての寒さが増す時期、海辺の暮らしのたくましさや貧しさ、旅情などを感じさせる、秋(三秋)の生活季語です。

この季語で詠むコツ

烏賊襖という言葉自体に「漁村の生活感」「潮の香り」「特異な手触り・寒さ」という強い具体性と存在感があります。そのため、無理に説明的な描写を重ねるのではなく、夜の寒さ(夜寒)、波の音、粗末な宿の灯りなど、環境の静けさや侘しさと対比させると効果的です。どこか旅情を漂わせるユーモラスさや哀愁を込めて詠むのがポイントです。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 触覚・嗅覚の言葉:潮の香、塩気、冷たし、薄し、肌ざわり
  • 状況・情景の言葉:夜寒(よさむ)、磯、浦、漁火(いさりび)、宿、枕、旅寝

烏賊襖」の俳句例 (3件)

烏賊襖塩たるる夜の寒さ哉
宝井其角【現代語訳】烏賊襖から塩気がにじみ出て垂れるような、この海辺の夜の寒さであることよ。 【鑑賞】烏賊襖という珍しい夜着を通して、磯辺の寒夜の厳しさと荒涼とした情景を、其角らしい鋭敏で生々しい感覚で捉えた一句です。
烏賊襖海士の閨こそなつかしけれ
与謝蕪村【現代語訳】烏賊襖が掛けられている漁師の寝床は、素朴でなんとも心惹かれ懐かしいものだ。 【鑑賞】漁民の慎ましくも力強い暮らしぶりへの温かい眼差しが感じられます。素朴な道具に風流と哀愁を見出す蕪村ならではの情緒豊かな名句です。
烏賊襖身をほそぼそと着たる夜や
森川許六【現代語訳】烏賊襖を体に巻きつけ、身を細めるようにして眠る秋の夜であることよ。 【鑑賞】粗末で硬い烏賊襖に身をくるみ、寒さをしのぎながら旅寝をする旅人の姿がリアルに描かれています。「ほそぼそと」という表現に侘しさと寒冷が凝縮されています。

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