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「無花果(いちじく)」は秋の季語です。西アジアからアラビア半島原産で、日本には江戸時代初期に薬用植物として伝来しました。外からは花が見えず、果実の中に小さな花が無数に咲くことから「無花果」の漢字が当てられています。また、1日に1個ずつ熟すことから「一熟(いちじく)」と呼ばれたとも言われます。秋に紫色や赤褐色に熟し、独特の柔らかな甘みとプチプチとした種の食感が好まれます。
無花果は、果実の独特な形状(ふっくらとした雫型)、熟して先が十字に割れる様子、乳白色の樹液、そして手のひらのような大きな葉など、視覚的・触覚的な特徴が豊富です。また、どこか懐かしい庭先の光景や、女性的な官能性、命の熟成と衰えといった深みのある情緒を表現するのに適しています。果実の柔らかさや、もいだ時の香り、味覚を具体的に描写すると生きた句になります。
・視覚・形状:熟る(うる)、裂く、雫、紫、大葉、夕暮れ ・触覚・味覚:甘し、とろり、白き露(樹液)、もろき ・心情・情景:古庭、母、幼き日、病床、黄昏、雨だれ
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