氷頭膾

氷頭膾

ひずなます

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意味・由来

「氷頭膾(ひずなます)」とは、秋に獲れる鮭の頭部の軟骨(氷頭)を薄切りにし、甘酢や生姜、大根おろしなどと和えた料理です。軟骨が氷のように透き通って見えることから「氷頭」と呼ばれ、鮭の遡上する晩秋の季語として親しまれています(正月料理としても用いられるため冬の季語とされることもあります)。コリコリとした独特の歯ごたえと、透明感のある涼やかな見た目、そして酢の爽やかな風味が特徴で、主に北海道や東北、新潟などの鮭処で古くから愛されてきた郷土の味です。

この季語で詠むコツ

氷頭膾を詠む際は、その「透明感・涼やかさ」という視覚的特徴や、「コリコリとした軟骨の歯触り」という触覚・聴覚的な特徴を捉えるのが基本となります。また、鮭の恵みに対する感謝や、北国の冷え込む風土、晩酌の酒との取り合わせもよく馴染みます。単なる料理の描写にとどまらず、それを食す人の暮らしや家族、あるいは北国の厳しい自然への想いへと情感を広げていくと、味わい深い一句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・視覚・質感を表す言葉:透きとほる、軟骨(こり)、白、器、箸 ・味覚・聴覚を表す言葉:酢、塩、淡し、噛む、軋る(きしる) ・情景・生活を表す言葉:冷酒、晩酌、北国、雪、故郷、母、炉端

氷頭膾」の俳句例 (3件)

氷頭膾塩のききてゐる酢の淡き
細見綾子【現代語訳】氷頭膾を口に運ぶと、ほどよく塩気が利いており、酢の味付けは淡く上品に仕立てられている。 【鑑賞】氷頭膾の繊細な味のバランスを見事にとらえた名句です。強すぎない酢の淡さと、素材を引き立てる塩加減に、調理した人の心遣いや郷土料理の素朴で上質な滋味が表現されています。
氷頭膾箸にとり落す透きとほり
角川源義【現代語訳】透き通るような氷頭膾を箸で挟もうとしたが、つるりと滑って落としてしまった。 【鑑賞】氷頭膾特有の、まるで氷片のように透き通った美しさと、酢に濡れた滑らかな質感を日常のふとした仕草から鮮やかに切り取っています。「とり落す」という動作に素材の弾力とみずみずしさが凝縮されています。
氷頭膾舌に冷たく歯に軋り
富安風生【現代語訳】氷頭膾を口に含むと舌先がひやりと冷たく、噛み締めれば歯のあいだでコリコリと軋むように鳴る。 【鑑賞】舌触りの冷たさと軟骨独特の歯ごたえを、五感を通じて克明に写生しています。「歯に軋り」という表現が、北国の秋の冷気と相まって、氷頭膾という珍味の個性を生き生きと伝えています。

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