ひつじ

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意味・由来\n「穭(ひつじ)」とは、秋に稲を刈り取った後の切り株から、再び生え出てくる青いひこばえ(新芽)のことです。「ひづち(火続ち・日続ち)」の転訛とも言われ、動物のヒツジとは関係ありません。実りの秋を終えて枯淡に向かう刈田の中で、再び瑞々しい青葉が揃って伸びる様子は「穭田(ひつじだ)」や「穭生ふ(ひつじおう)」とも呼ばれ、晩秋の郷愁と小さな生命の健気さを象徴する季語として古くから親しまれています。\n\n### この季語で詠むコツ\n穭の面白さは、「収穫の終わりという寂寥感」と「再び芽吹く生命のみずみずしさ」という二面性にあります。本格的に実を結ぶことはない儚い草葉ですが、刈田に広がる若草色の広がりをどのように捉えるかがポイントです。秋の澄んだ夕暮れや日差しの傾き、遠くに見える山並みや鳥の姿など、刈り取り後の広々とした景色の広がりとセットで描写すると、静けさと情緒が引き立ちます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・光や風の描写:「夕日」「秋気」「斜光」「薄日」「通り雨」\n・土地や景色の広がり:「畦(あぜ)」「遠山」「空」「鳥海山」「刈田」\n・生き物:「雀」「鴉(からす)」「鷺」

」の俳句例 (3件)

穭田にぽつかり浮ぶ鳥海山
西東三鬼【現代語訳】稲刈り後のひこばえが一面に青々と茂る穭田の彼方に、名峰・鳥海山がぽっかりと浮かぶように美しくそびえている。\n【鑑賞】刈り取られて開けた田の彼方に、秋の澄んだ大気を通して東北の名山・鳥海山が見えています。「ぽつかり浮ぶ」という軽やかな措辞が、雄大な山容と穭田の広々とした空間を見事に切り取っています。
穭田のひかりとなつて雨過ぐる
及川貞【現代語訳】さっと通り過ぎていく通り雨が、刈り株から伸びた穭の葉を濡らし、きらきらとした美しい光となって去っていった。\n【鑑賞】通り雨の滴を受けた穭の葉が、差し込む光を浴びて一瞬眩しく輝く情景を捉えています。刈り田の寂しさを払うようなみずみずしい光の動きが、繊細で透明感のある感性で表現されています。
穭田に落つる夕日のまろさかな
夏目漱石【現代語訳】ひこばえの伸びる田の上に、沈んでいく夕日が何とも穏やかに丸く大きく見えていることよ。\n【鑑賞】秋の広々とした田園に沈む夕日の輪郭を「まろさかな」と味わい深く表現しています。稲穂が刈り取られて見通しが良くなった秋の田ならではの広がりと、穭の柔らかな緑を包む夕暮れの温かみが心地よい一句です。

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