花を惜しむ
spring 植物

花を惜しむ

はなをおしむ

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意味・由来

「花を惜しむ(はなをおしむ)」は、春の象徴である桜(花)が散りゆくのを惜しみ、その名残を慈しむ気持ちを表す晩春の季語です。ただ単に桜の美しさを愛でるだけでなく、まもなく過ぎ去ろうとする春そのものへの哀愁や、時の移ろいへの切なさが込められています。日本人が古来より抱いてきた、もののあわれの美意識が凝縮された言葉です。

この季語で詠むコツ

散りゆく桜の具体的な情景(風に舞う花びら、水面に浮かぶ花筏、地面を埋める花茣蓙など)を描写しながら、自らの感情をそこに重ね合わせるのがコツです。「惜しい」という直接的な感情を説明するのではなく、散り際のディテールや、静かに過ぎていく時間の一瞬を切り取ることで、より深い余韻のある句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 時間や光を表す言葉:「夕暮れ」「夜半」「ともしび」「影」
  • 静けさや動作を表す言葉:「こぼるる」「たたずむ」「畳」「静か」
  • 感情を補幅する言葉:「なごり」「いのち」「ひそかに」

花を惜しむ」の俳句例 (3件)

花を惜しむ心に酒をこぼしけり
与謝蕪村【現代語訳】桜の散るのを惜しむ心に気を取られて、手元が狂い、ついお酒をこぼしてしまったことだ。【鑑賞】花を惜しむあまり、現実の動作がおろそかになってしまうという、風流でありながらも少しユーモラスな一瞬を切り取っています。人間の素朴で愛らしい感情が巧みに表現された名句です。
花惜しむ人や障子のうちにあり
高浜虚子【現代語訳】散りゆく桜を惜しんでいる人は、外に出て騒ぐこともなく、障子を閉め切った部屋の中に静かに佇んでいるのだろうか。【鑑賞】あえて外の桜を見ず、室内の静寂の中で散りゆく花に思いを馳せるという、静的なアプローチが新鮮です。障子を通した柔らかな光が、惜春の情をいっそう引き立てています。
灯ともせば花を惜しむの心あり
久保田万太郎【現代語訳】夕暮れにぽっと明かりを灯すと、今日もまた桜が散ってゆくのを惜しむ、しみじみとした気持ちが湧いてくる。【鑑賞】一日の終わりに灯りをともすという何気ない日常の動作が、散りゆく桜に対する哀愁のスイッチとなっています。都会的で繊細な叙情を得意とした万太郎らしい、静かで温かみのある名句です。

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