花野風

花野風

はなのかぜ

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意味・由来

秋の季語である「花野風(はなのかぜ)」は、萩や薄(すすき)、女郎花(おみなえし)など、色とりどりの秋の草花が一面に咲き乱れる野原「花野」を吹き抜けていく風のことです。春の花を揺らす風が甘やかで暖かみを持つのに対し、秋の花野風はどこか冷ややかで、透き通るような清涼感や、やがて枯れゆく草花のはかなさを漂わせています。草波をさやさやと揺らし、秋の気配と澄んだ香りを運ぶ情趣あふれる季語です。

この季語で詠むコツ

花野風を詠む際は、風そのものを見ることはできないため、「草花がどのように揺れ動いているか」「どんな音を立てているか」「肌にどんな感触を与えたか」といった五感を意識して描写するのがポイントです。また、華やかな草花の美しさと、背後にある晩秋や冬へ向かう寂寥感(もののあわれ)との対比を意識すると、句に深みが生まれます。

相性のいい言葉・取り合わせ

秋草の名(撫子、吾亦紅、桔梗など)、光や影の描写(斜陽、夕日、こぼるる陽、影法師)、動きや音を表す言葉(そよぐ、波打つ、さやさや、渡る)、旅や歩みに関する言葉(杖、道、歩み、裾)などがよく調和します。

花野風」の俳句例 (3件)

花野風はしれば白きたすきかな
飯田蛇笏【現代語訳】秋の花野を吹き抜ける風がさっと走ると、農作業をする人の白い襷(たすき)が鮮やかにひるがえった。【鑑賞】咲き誇る秋の草花と、そこを通り抜ける風の勢い、そして作業をする人の白い襷の鮮烈な対比が、澄明で力強い秋の生活景を捉えています。
花野風日ざしを連れてわたりけり
富安風生【現代語訳】花野を吹き抜ける風が、きらめく秋の日差しを伴うようにして野原一面を渡っていった。【鑑賞】風の動きに伴って草花が波打ち、反射する木漏れ日や日ざしが一緒に移動していくような、明るく爽快な自然の美しさを穏やかに捉えた一句です。
花野風吹きぬけて山暮れにけり
臼田亜浪【現代語訳】花野を風が吹き抜けていき、その向こうにある山は早くも夕暮れに包まれてしまった。【鑑賞】吹き渡る冷涼な風の感触とともに、急速に暮れてゆく秋の山野の寂寥感がしみじみと描かれており、旅愁や季節の移ろいを感じさせます。

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