雁来月
autumn 天文

雁来月

がんらいづき・かりくづき

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意味・由来

「雁来月(がんらいづき/かりくづき)」は、陰暦八月の異名です。シベリアなどの北方から、越冬のために雁(かり・がん)が日本へ渡り始める月であることから、このように呼ばれるようになりました。仲秋(現在の9月頃)の澄み切った空気と、季節が本格的な秋へと移行していく寂寥感や静けさを象徴する、非常に情緒豊かな美称です。

この季語で詠むコツ

「雁来月」という言葉自体に、どこか寂しげでロマンチックな響きがあります。実際に雁の姿を直接描かなくても、夜空を見上げたり、夜の冷気を感じたりするだけで、その向こうにある渡り鳥の羽音や、秋の深まりを表現することができます。時間の経過や、静寂、冷ややかな空気感などを意識して、スケールの大きな視点、あるいは内省的な視点を盛り込むと良いでしょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

「雁来月」は夜や空、光といった自然現象と非常に相性が良い言葉です。

  • 天体・気象:月、星、夜空、雲、風、雨、冷気
  • 音・静寂:静か、音なき、羽音、遠く
  • 感情・旅:旅心、郷愁、待つ、更ける これらの言葉を組み合わせることで、静寂の中に確かな季節の歩みを感じさせる句を詠むことができます。

雁来月」の俳句例 (3件)

雁来月波よりのぼる月のあり
富安風生【現代語訳】雁が渡ってくるという雁来月(陰暦八月)、海のかなたの波間から、こうこうと輝く月が昇ってくることだ。【鑑賞】海辺で月を眺める叙情的な一句です。「雁来月」という季節の響きが、夜の海の冷ややかさと、これから訪れる秋の深まりを予感させます。昇りゆく月が波を照らす情景が美しく描かれています。
かりくづき夜はしづかなる雲のゆき
大野林火【現代語訳】雁来月の夜、ふと見上げる空には、静かに流れていく雲の姿がある。【鑑賞】平仮名で「かりくづき」と表記することで、柔らかく静謐な夜の空気感が強調されています。雁の姿は直接描かれていませんが、静かに流れる雲の彼方に、渡ってくる雁の群れを想起させる、詩情豊かな作品です。
雁来月雨ふる夜ををみなごの
飯田蛇笏【現代語訳】雁が渡ってくる雁来月の、しとしとと雨が降る夜。家の中では、女の子が何事か静かに過ごしている。【鑑賞】「をみなご(女の子)」の存在が、雨の降る秋の夜の寂しさを温かく和らげています。雁来月という季節の移ろいの中で、静かな家庭の一コマを抒情的に切り取った名作です。

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