脱穀機

脱穀機

だっこくき

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意味・由来

「脱穀機(だっこくき)」は、刈り取って乾燥させた稲や麦の穂から籾(もみ)を落とすために用いられる農機具で、秋の季語です。かつては千歯扱(せんばこき)や足踏み式の脱穀機が使われていましたが、大正から昭和にかけて石油発動機やモーターを用いた動力脱穀機が普及し、現在ではコンバインによる収穫・脱穀が主流となっています。俳句において「脱穀機」は、実りの秋を迎えた農村の活気、けたたましい機械音、吹き上がる籾殻や埃、そして日暮れまで続く収穫作業の忙しさを象徴する季語として親しまれています。

この季語で詠むコツ

脱穀機を詠む際は、機械が立てる「音(轟音・リズム)」、舞い散る「籾殻や煙」、そして「光や時間帯(特に夕暮れ)」に着目するのが効果的です。近代的な機械の無機質さと、豊かな実りをもたらす自然の情景との対比を描くことで、句に力強い生命感や臨場感が生まれます。また、作業に汗を流す人々や、脱穀機が止まった後の急激な静寂(秋の夕暮れの深まり)に視点を移すのも深い味わいを生むアプローチです。

相性のいい言葉・取り合わせ

・音や動態を表す言葉(とどろく、唸る、響く、煙吐く、埃舞ふ、止まる) ・時間や光を表す言葉(落日、夕日、暮色、秋晴、黄昏、茜空) ・農村の風物(籾殻、藁、庭先、畦道、山の影、納屋)

脱穀機」の俳句例 (3件)

脱穀機夕日に赤き煙吐く
山口誓子【現代語訳】脱穀機が夕日を浴びながら、赤く染まった煙や藁屑を勢いよく吐き出している。 【鑑賞】近代的な機械と夕暮れの光景を鮮烈な色彩感覚で捉えた誓子の代表作の一つです。収穫作業に追われる農村の活気と、西日に照らされて赤く染まる粉塵の美しさが、「赤き煙」という鋭い視覚描写によって劇的に表現されています。
脱穀機とどろとどろと日は暮れぬ
山口青邨【現代語訳】脱穀機がとどろとどろと激しい音を響かせ続けているうちに、あっという間に日は暮れてしまった。 【鑑賞】「とどろとどろ」というオノマトペが、脱穀機の重厚なエンジン音や回転音の響きをありありと伝えています。秋の日の短さと、日没が迫っても作業を休めない農作業の多忙さや力強さがストレートに胸に響く一句です。
脱穀機山かげりたるあとも鳴る
飴山絹【現代語訳】山が夕闇に包まれてすっかり陰った後になっても、脱穀機の音はまだ鳴り響いている。 【鑑賞】山あいの田園では平地よりも早く日が落ちますが、収穫期の手を休めるわけにはいきません。暗くなった周囲の静けさと、その中でなおも轟き続ける機械音との対比が、秋の農村の切迫感とたくましさを鮮やかに際立たせています。

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