葡萄膾

葡萄膾

ぶどうなます

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意味・由来

「葡萄膾(ぶどうなます)」は、葡萄の皮を剥いて種を取り、果肉を二杯酢や三杯酢、あるいは加減酢で和えた秋の酢の物料理、またはそれを詠む季語です。時には大根や胡瓜の細切りなどと和えられることもあります。葡萄特有のみずみずしい甘みと爽やかな酸味が、酢のキリリとした風味と溶け合い、初秋から仲秋にかけての食卓に涼感と彩りを添えます。江戸時代から風流な酒戸の肴や精進料理としても親しまれてきた、美意識と味覚が結びついた季語です。

この季語で詠むコツ

葡萄膾の魅力は、その「瑞々しい透明感」と「甘酸っぱい味わい」にあります。硝子鉢や白磁の小鉢といった器との取り合わせを意識すると、視覚的な美しさが際立ちます。また、料理としての佇まいだけでなく、晩夏の暑さが引いて秋風を感じる夕暮れの気配や、家族・独り住まいの食卓の情景、母や昔の記憶といった心象風景と結びつけると、日常の些細なひとコマが深みのある一句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・器に関する言葉(硝子鉢、青磁、白磁、小鉢) ・食事や所作に関する言葉(箸先、夕餉、酢の香、冷やす) ・季節や時間の言葉(秋夕焼、暮色、秋風、灯ともし頃)

葡萄膾」の俳句例 (3件)

葡萄膾母の針箱大きくて
岡本眸【現代語訳】葡萄膾をいただいていると、ふと母の大きな針箱が思い出されることだ。【鑑賞】葡萄膾という上品で繊細な小鉢の佇まいから、どっしりと懐かしい「母の針箱」の存在へと視線と記憶を飛ばした名句です。甘酸っぱい果肉の感触が、在りし日の母の温もりや手仕事の手触りを鮮やかに呼び覚まします。
葡萄膾ひとりとなればまた喰べつ
桂信子【現代語訳】誰かといた時間が終わり、ひとりきりになると、残っていた葡萄膾にまた箸を伸ばしてしまう。【鑑賞】独居の静けさと自由、そしてかすかな寂寥感が漂う句です。つるりとした冷たい葡萄膾の食感が、孤独な夕餉の時間と絶妙に響き合っています。
葡萄膾透きとほるまで冷しけり
富安風生【現代語訳】葡萄膾を、その果肉が透き通るほど十分に冷やしたことである。【鑑賞】葡萄の瑞々しい翡翠色や紫色の果肉が、しっかりと冷やされることで一層美しく輝く様子を捉えています。食べる直前の期待感と、秋の澄んだ冷気が視覚と触覚を通じて伝わってきます。

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