番船

番船

ばんふね

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意味・由来\n「番船(ばんふね)」は、主に上方(灘や伊丹など)で秋に醸造された「新酒」を、江戸へいち早く届けるために競漕(レース)仕立てで運航された廻船「新酒番船」に由来する秋の季語です。一番乗りを果たした船(一番船)の船頭や水主(水夫)には多大な報奨金と名誉が与えられたため、荒波が立つ秋の海を危険を冒して全速力で駆け抜けました。このことから、単なる船の往来ではなく、威勢の良さや男たちの意気込み、そして秋の海風の厳しさを伴う情景を表す季語として定着しました。\n\n### この季語で詠むコツ\n番船を詠む際は、スピード感や緊迫感、そして港の活気を前面に出すのがポイントです。秋の澄んだ高い空や、時に荒々しく吹き抜ける野分(台風)の風を背景に、帆いっぱいに風をはらんで疾走する雄大な姿を描写してみましょう。静かな秋の寂しさ(秋思)と対比させて、男たちの熱気や波しぶきの力強さを際立たせることで、立体感のあるダイナミックな句に仕上がります。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・天候・自然:秋風、野分(のわき)、白波、怒涛、秋気、追風\n・海・船の部品:帆(帆柱)、碇(いかり)、纜(ともづな)、舳先(へさき)、沖、灘\n・動作・情景:解く、捲く、競ふ、奔る、漕ぎ出す、暮れゆく

番船」の俳句例 (3件)

番船の纜とくや秋の風
吉分大魯【現代語訳】いよいよ新酒を積んだ番船のつなぎ綱が解かれ、激しい秋の風を受けて勢いよく船出していった。\n【鑑賞】港をつなぎ止めていた纜(ともづな)を解いた瞬間、船出の緊張感と秋風の鋭さが一気に立ち上がります。新酒を江戸へ一番乗りで届けようとする水主たちの意気込みと、厳しい秋の海原へと挑むダイナミズムが見事に捉えられています。
番船の帆を巻き落す野分かな
加舎白雄【現代語訳】速さを競う番船が、突風のような野分(台風の風)に遭い、とっさに帆を巻き下ろしていることだ。\n【鑑賞】一刻も早く江戸へ着こうと危険を顧みず帆を張り詰めて走る番船ですが、荒れ狂う野分には抗えず、慌ただしく帆を落とす緊迫した場面です。自然の猛威と、それに立ち向かう人間の激しい格闘が活写されています。
番船の碇ひきあげ秋の風
正岡子規【現代語訳】重い碇が水底から引き上げられ、番船が吹きすさぶ秋風の中を出航していく。\n【鑑賞】船出の合図である碇の引き上げという具体的な動作に着目し、港の喧騒から大海原へ向かう高揚感を描いています。肌を刺すような冷たい「秋の風」が、これからの航路の厳しさとスピード感を暗示しています。

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