綾巻

綾巻

あやまき

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意味・由来

「綾巻(あやまき)」とは、秋の澄み渡った高い空に見られる、綾織物の美しい文様のように波打ち重なり合う雲(巻積雲や波状雲など)を指す季語です。織りなされた絹織物の「綾」を巻き重ねたような繊細で幾何学的な美しさがあることから、古くから秋の空の風情を表す雅やかな言葉として用いられてきました。秋風がもたらす大気の揺らぎによって生まれる、天上の美しい織物のような情景を想起させます。

この季語で詠むコツ

「綾巻」は雲の形状そのものの美しさや繊細さを表す視覚的な季語です。そのため、単に「雲が綺麗だ」と描写するだけでなく、空の青さとのコントラストや、刻々と崩れゆく儚さ、秋の夕暮れの光の移ろいなどとともに捉えると効果的です。地上で過ごす人間の静かな生活感や哀愁を対比させることで、広大な天景の美しさがより際立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・光や空の描写:「夕映え」「茜(あかね)」「青空」「暮色」 ・秋の風情:「秋澄む」「秋気」「初秋」「薄暮」 ・地上の情景:「棚田」「野道」「山並み」「静寂」

綾巻」の俳句例 (3件)

綾巻の雲の乱れや秋の風
正岡子規【現代語訳】美しく波打っていた綾巻の雲が、秋の風に吹かれて次第に形を崩してゆくことだ。【鑑賞】整然と美しく空を飾っていた綾巻雲が、冷涼な秋風によってほどけ、乱れていく様子を繊細に捉えた一句です。秋の訪れと大気の動きを雲の形の変化を通じて鋭く描き出しています。
綾巻や夕日さしそむ秋の空
高浜虚子【現代語訳】綾織りのように波打つ雲が広がる秋の空に、夕日が赤く差し染め始めた。【鑑賞】高く澄んだ秋空に浮かぶ綾巻雲に、夕日の茜色が美しく染まりゆく壮麗な光景を詠んでいます。客観写生でありながら、天上の劇的な色彩の変化が見事に目に浮かぶ作品です。
綾巻の雲の果てなる茜かな
水原秋桜子【現代語訳】空一面に広がる綾巻の雲の、その遙かな果てが夕茜に美しく染まっていることよ。【鑑賞】空いっぱいに広がる繊細な雲のテクスチャーと、地平線近くの鮮やかな夕焼けの対比が絵画的で優美です。秋桜子らしいリリカルで色彩感覚豊かな名句です。

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