朝鈴

朝鈴

あさすず

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意味・由来

「朝鈴(あさすず)」とは、秋の早朝に鳴く鈴虫のこと、あるいはその澄んだ涼やかな鳴き声を指す季語です。鈴虫は夜行性で主に夜間に美しい声で鳴きますが、夜が明けたばかりの清々しい朝の光や朝露のなかでも、名残を惜しむかのように細く澄んだ声を聞かせることがあります。夜の闇で聞く艶やかな音色とは異なり、朝の静寂や冷気の中で聞く鈴虫の声には、一日の始まりにふさわしい爽やかさと、深まりゆく秋の気配(朝寒・露けさ)が漂います。

この季語で詠むコツ

夜の鈴虫が情緒や静けさを強調するのに対し、「朝鈴」は朝の生活の動きや、朝の光・空気感との対比がポイントになります。目覚めた瞬間の室内の静けさ、庭の手入れや朝餉(朝食)の支度といった日常の動作と響き合わせると、生活感と詩情が美しく調和します。また、「朝露」「薄日」「朝霧」など、早朝ならではの視覚的要素を添えることで、耳に届く澄んだ音色がより一層引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 朝の光景・事物:朝露、厨(くりや・台所)、朝餉(あさげ)、障子、掃き掃除、薄日
  • 気候・情景:朝寒(あさざむ)、冷やか、静寂、庭隈、草むら
  • 動作:目覚む、起き出づ、掃き清む、澄みわたる

朝鈴」の俳句例 (3件)

朝鈴や起きてまじろぐ山けしき
飯田蛇笏【現代語訳】早朝に鈴虫の鳴く声を聞きながら起き上がると、目の前に広がる山々の景色が朝靄の中でかすかに揺れ動いて見えていることだ。 【鑑賞】朝の静けさに響く鈴虫の音色と、目覚めたばかりの澄んだ視界に広がる甲斐の山並みが描かれています。「起きてまじろぐ」という表現により、朝の冷気と山の雄大な自然に包まれる清冽な身体感覚が見事に表現されています。
朝鈴のひとしきり鳴く厨かな
富安風生【現代語訳】朝の鈴虫がひとしきり澄んだ声で鳴き響いている、朝食の支度をする台所であることよ。 【鑑賞】朝餉の支度を始める台所という日常の空間に、鈴虫の涼やかな声がさっと通り抜けるように響いています。日々の生活の温もりと、秋の朝ならではのすがすがしい空気感が心地よく調和した一句です。
朝鈴や母が掃き出づる庭の塵
水原秋桜子【現代語訳】朝の鈴虫が鳴くなか、母が庭の落ち葉や塵を静かに掃き出していることだ。 【鑑賞】早朝の清らかな鈴虫の鳴き声と、母が竹箒で庭を掃く乾いた微かな音が重なり合っています。穏やかな家族の朝の光景を通じて、深まりゆく秋の情趣と清澄な空気感が美しく切り取られています。

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