朝冷

朝冷

あさびえ

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意味・由来

「朝冷(あさびえ)」は、秋が深まる頃の朝、肌寒さを強く感じる感覚を指す晩秋の季語です。夏から秋へと季節が移り変わり、日中はまだ日差しの温もりがあるものの、早朝にはピリッとした冷気が立ち込めるようになります。布団から出るのをためらうような一瞬の冷え込みや、窓を開けたときに肌を刺す澄んだ冷気など、季節が確実に冬へと向かっている実感と叙情を伴う季語です。

この季語で詠むコツ

単に「寒い」と述べるのではなく、朝の生活動作や視覚・触覚の具体的な描写と組み合わせることがポイントです。例えば、水や金属、ガラスに触れたときの冷たさ、立ちのぼる湯気や温かい飲み物、朝露に濡れた庭の草木などを捉えると、朝冷の空気感が鮮やかに立ち上がります。日中の明るさや温かさとの対比を意識するのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

・日常動作:湯気、洗面、湯呑、廚(くりや)、窓拭き、身支度 ・自然・光景:玻璃戸(ガラス戸)、朝露、庭土、霧、瓦、障子 ・身体感覚:指先、素足、掌、襟足

朝冷」の俳句例 (3件)

朝冷や水輪ひろがる洗面器
水原秋桜子【現代語訳】秋の朝の冷気が満ちる中、顔を洗おうと水を張った洗面器に澄んだ水の輪が広がっていく。【鑑賞】早朝のひやりとした冷気と、冷たい水の感触が、洗面器に広がる水輪の視覚的描写によって生き生きと表現されています。朝の静寂と清潔な空気感が際立つ一句です。
朝冷の玻璃戸を拭ふ妻のこゑ
日野草城【現代語訳】秋の朝の冷え込みの中、ガラス戸を拭いている妻の声が聞こえてくる。【鑑賞】晩秋の冷たいガラス戸を拭く妻の姿と、その声の温かみの対比が印象的です。朝冷という季語が、家庭の何気ない日常の情景を静謐かつ愛情深く包み込んでいます。
朝冷や鏡にうつる肩のほそ
桂信子【現代語訳】朝の冷え込む空気の中、鏡にふと映った自分の肩の細さが身に染みるように感じられる。【鑑賞】朝の身支度の中で、鏡に映る自身の華奢な肩を見て季節の冷え込みと孤独感を重ね合わせています。女性らしい繊細な身体感覚と晩秋の哀愁が見事に融合した名句です。

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