秋夕焼

秋夕焼

あきゆうやけ

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意味・由来

「秋夕焼(あきゆうやけ)」は、秋の澄んだ空に広がる夕焼けのことです。単に「夕焼」というと夏の季語になりますが、夏のみなぎるような力強い夕焼けに対し、秋夕焼は空気が乾燥して澄み渡っているため、紫がかった深みのある茜色や透明感のある美しいグラデーションを見せます。しかしその美しさは一瞬で、日没が早い「秋の日は釣瓶落とし」の言葉通り、あっという間に暗闇に呑まれて冷気に包まれます。その華やかさと、直後に訪れる急速な寂寥感・冷え込みの対比が際立つ季語です。

この季語で詠むコツ

秋夕焼を描く際は、色彩の鮮やかさだけでなく「移ろいの早さ」や「夕暮れ後の肌寒さ・暗さ」といった時間的・体感的な変化を意識するのがポイントです。夏の夕焼けのような開放感ではなく、秋ならではの哀愁、孤独感、一日の労働の終わり、あるいは旅情といった心情を重ね合わせることで、より深みのある句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 移ろいや光を示す言葉(茜、紫、薄暮、暮れ早し、翳る)
  • 秋の風景・物(芒、赤とんぼ、刈田、山並み、家路)
  • 心情や感覚を表す言葉(静けさ、冷え、愁い、温もり、影)

秋夕焼」の俳句例 (3件)

秋夕焼人恋ふこともおとろへて
野見山朱鳥【現代語訳】秋の夕焼けが広がるなか、かつてのように激しく人を恋い慕う気持ちもすっかり衰えてしまったことだ。 【鑑賞】澄み切った秋の夕空が鮮やかに染まる様子を見つめながら、自身の心の静まりや枯淡の境地を吐露しています。美しくもどこか冷ややかな夕焼けの光が、老いや孤独を受け入れる作者の内面を照らし出しています。
秋夕焼誰が胸中も燃えやすし
角川源義【現代語訳】秋の夕焼けの空を見上げていると、誰の胸の内であっても情熱や思いが燃え上がりやすくなるものだ。 【鑑賞】一瞬で空を真っ赤に染め上げる秋夕焼の強烈な光景に触発され、人の心にも秘められた情熱や切なさが燃え移るようだと詠んでいます。夕焼けの美しさと人間の内なる感情の共鳴をダイナミックに捉えた一品です。
秋夕焼見とれてわれの身の透くか
石田波郷【現代語訳】秋の夕焼けの美しさに一心に見とれていると、私自身の体まで透き通って空に溶けていくかのようだ。 【鑑賞】澄み渡る秋の夕空の透明感と、圧倒的な夕映えの光に包まれる陶酔感を表現しています。自己と壮大な自然の境界が薄れていくような不思議な感覚を、病床体験も持つ波郷ならではの繊細な感受性で鮮やかに切り取っています。

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