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季語辞典
野見山朱鳥
俳
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野見山朱鳥
のみやまあすか
作風・特徴
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代表句 (10件)
秋燈に母の指ゆく針の穴
季語: 秋ともし (autumn)
『【現代語訳】秋の灯りのもとで、母の指先が針の穴へと糸を通そうと進んでいく。 【鑑賞】秋の夜の柔らかな明かりの中、小さな針の穴に集中する母の手元をクローズアップした秀句です。老いていく母への愛おしさと、静かに更けていく秋夜の親密な時間が、指先の繊細な動きを通して詩情豊かに描き出されています。』
秋夕焼人恋ふこともおとろへて
季語: 秋夕焼 (autumn)
『【現代語訳】秋の夕焼けが広がるなか、かつてのように激しく人を恋い慕う気持ちもすっかり衰えてしまったことだ。 【鑑賞】澄み切った秋の夕空が鮮やかに染まる様子を見つめながら、自身の心の静まりや枯淡の境地を吐露しています。美しくもどこか冷ややかな夕焼けの光が、老いや孤独を受け入れる作者の内面を照らし出しています。』
十字架祭海へひらきし窓いくつ
季語: 十字架祭 (autumn)
『【現代語訳】十字架祭の日、海に向かって開け放たれた窓がいくつも並んでいる。【鑑賞】海を望む高台の教会堂の開放的な情景を描いた句です。秋の澄んだ海風と明るい光が窓から差し込み、厳かな祝祭の日を爽やかに彩っています。』
幟竹肩に落ちくる数方庭
季語: 数方庭祭 (autumn)
『【現代語訳】数方庭祭で、高く掲げられていた重い幟竹が、担ぎ手の男の肩へと一気に落ちてくる。\n【鑑賞】巨大で重い竹を体一つで受け止める緊張の一瞬を写し取っています。「肩に落ちくる」という直接的な動作の描写が、竹のずっしりとした重みと肉体の躍動感、危険と隣り合わせの祭りの迫真性を際立たせています。』
川芎の花の暮れゆく匂ひかな
季語: 川芎の花 (autumn)
『【現代語訳】川芎の花が夕暮れの薄闇に沈んでいくなか、その独特の香りが立ち込めてくることだ。\n【鑑賞】川芎の薬草特有の強い香気に着目した句です。視覚的に花が闇に溶けて見えなくなっていく一方で、夕気のなかで逆に際立ってくる花の匂いが、秋の夕暮れの深まりを濃密に演出しています。』
筑紫竜胆咲き青空をひろげたり
季語: 筑紫龍胆 (autumn)
『【現代語訳】筑紫龍胆が青く咲き澄みわたり、その青さゆえに秋の青空が一層広く感じられる。\n【鑑賞】九州出身の野見山朱鳥による句です。花の冴え冴えとした濃青色が、天高く澄み渡る秋空の広がりと響き合っています。花の一点から大空全体へと視界が一気に抜けていくような爽快感があります。』
敗戦の日の太陽をまともに見つ
季語: 敗戦の日 (autumn)
『【現代語訳】敗戦を迎えたその日、空に輝く太陽を逃げることなく真正面からじっと見つめた。【鑑賞】8月15日の正午、玉音放送を聴いた直後の日本人の虚脱と衝撃を、天に照りつける太陽を直視する行為によって表現した名句です。目を逸らさずに現実を受け止めようとする意志と、茫然自失とした静けさが太陽の眩しさと共に焼き付けられています。』
放生会の夜潮ひびきて松暗し
季語: 筥崎放生会 (autumn)
『【現代語訳】放生会の夜、海からの潮騒が低く響きわたり、筥崎宮の松原はどこまでも深い闇に包まれている。 【鑑賞】筥崎宮の背後に広がる玄界灘の気配を捉えた重厚な句です。参道の賑やかな灯りや喧騒から一歩離れると、海風にざわめく雄大な松林と暗い夜潮の音が迫ってきます。生命を放ち慈しむ放生会の夜に、自然の雄大さと厳粛な気配を感じさせる名句です。』
櫨ちぎりの手籠ゆさぶる風のあり
季語: 櫨ちぎり (autumn)
『【現代語訳】櫨の実を摘み取る人が持っている手籠を、吹き抜ける秋風が大きく揺さぶっている。 【鑑賞】高枝に登って作業する人の手元にある籠が、風にあおられている瞬間を捉えています。高所ならではの不安定な緊張感と、晩秋の冷たい風の強さが鮮明に伝わってくる作品です。』
葡萄酒を醸すや霧の深き夜を
季語: 葡萄酒醸す (autumn)
『【現代語訳】葡萄酒を醸造している蔵の外には、秋の深い霧が静かに立ち込める夜が広がっている。\n【鑑賞】しんとした霧の夜気と、蔵の中で人知れず進む発酵の神秘的な熱気が見事に対比されています。濃い霧に包まれた静寂の中で、果汁がじっくりと酒へと変貌していく生命の神秘を感じさせる名句です。』
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