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「秋団扇(あきうちわ)」とは、秋になってもまだ片付けられずに部屋の隅や枕元などに残されている団扇のことです。傍題には「捨団扇(すてうちわ)」「置団扇(おきうちわ)」「忘れ団扇(わすれうちわ)」などがあります。 猛暑の夏には片時も手放せなかった団扇が、秋風が吹き始めると次第に使われなくなり、やがて忘れ去られていく――そこには、移ろいゆく季節の儚さや、用済みになった物に対する哀愁、過ぎ去った夏への名残惜しさが漂います。中国の故事「班婕妤(はんしょうよ)の怨歌行」に由来する、寵愛を失った女性の境遇を重ね合わせる歴史的な背景も持っています。
秋団扇を詠む際は、「使われなくなった物」としての佇まいや所在のなさを描写するのがポイントです。机の隅や畳の上にぽつんと置かれた様子、手持ち無沙汰にパタパタと弱々しく扇ぐ仕草、あるいは埃を払う道具として雑に扱われる場面などを捉えると、秋特有の寂寥感や生活感が際立ちます。団扇そのものを直接嘆くのではなく、置かれている空間の静けさや秋の風情を描き出してみましょう。
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