秋の名草

秋の名草

あきのなぐさ

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意味・由来\n「秋の名草(あきのなぐさ)」とは、秋の野山や庭に咲く、名高い美しい草花全般を指す雅びやかな季語です。古くは『万葉集』の時代から、人の心を慰めてくれる草として「慰草(なぐさ)」と呼ばれたり、秋の七草をはじめとする風情ある名花をたたえて「名草」と呼んだことに由来します。単なる雑草ではなく、秋の情緒を漂わせる萩、薄(すすき)、撫子、葛、藤袴、女郎花、桔梗などの花々や、野に自生する可憐な草花への親愛と風流な眼差しが込められています。\n\n### この季語で詠むコツ\n特定の植物名を挙げるのではなく「秋の名草」と包括的に呼ぶことで、野原一面に咲き乱れる豊かな情景や、どこか古風で王朝風の雅な余韻を醸し出すことができます。詠む際は、個々の花のアップよりも、夕暮れの光、吹き抜ける秋風、降り置く露など、周囲の空間や時間帯の移ろいと取り合わせるのが効果的です。また、旅情や人恋しさ、あるいは歴史への思いを重ねることで、季語の持つ優美で少し寂しげな情感が引き立ちます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 自然・天候:夕露、秋風、野分(のわき)、夕暮、日射し、山里\n- 動作・感覚:摘む、手向く(たむく)、揺らぐ、香る、暮れゆく\n- 情景・場所:古寺、野辺、旧跡、庭前、旅路

秋の名草」の俳句例 (3件)

名草とはいづれの花の咲けるぞや
松尾芭蕉【現代語訳】名草とは、いったいどの草花が咲いていることを言うのだろうか。\n【鑑賞】秋の野に咲くさまざまな花を眺めながら、「名草」という美しい言葉の響きに思いを馳せ、どの花こそがその名にふさわしいのかと風流に問いかけている句です。
秋の名草野分にふかれつくしけり
正岡子規【現代語訳】秋の美しい草花たちが、激しい野分(台風)の風にことごとく吹き荒らされてしまったことだ。\n【鑑賞】それまで優美に咲き誇っていた秋の名草が、容赦ない秋の嵐に打ちひしがれた哀れさを詠んでいます。自然の猛威と無常観がストレートに伝わる一句です。
秋の名草手向くる仏なかりけり
森川許六【現代語訳】秋の美しい名草を手折ってみたものの、供えるべき仏(あるいは墓)もないことだなあ。\n【鑑賞】旅先や野辺で可憐な草花を目にして手折ったものの、手向ける対象のない侘しさを詠んでいます。秋草の美しさと作者の孤独感が静かに響き合っています。

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