秋の蝶

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あきのちょう

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意味・由来

「秋の蝶」は、秋の澄んだ空気のなかを弱々しく、あるいは名残を惜しむように飛んでいる蝶を指す三秋の季語です。春の蝶が生命力にあふれ、爛漫と咲く花々を軽やかに飛び交うのに対し、秋の蝶にはどこか哀愁や寂寥感が漂います。やがて訪れる冬の寒さを前に、衰えゆく羽でわずかな日差しを求めて舞う姿に、人々ははかなさや命の愛おしさを感じ取ってきました。

この季語で詠むコツ

春や夏の蝶との違いを際立たせるため、「飛び方の変化」「日差しへの執着」「周囲の秋の景色の静けさ」に注目するのがポイントです。勢いよく飛ぶのではなく、風に流されそうになりながらも必死に羽ばたく姿や、日だまりの石や枯れ葉の上にじっと羽を休めている様子を捉えると、秋の蝶特有の情感が際立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・日差し・光(日だまり、薄日、秋日、日脚) ・秋の草花・自然(菊、野路、枯草、石だたみ、秋風) ・動作・状態(低く飛ぶ、やすらふ、羽を休む、もつれあふ)

秋の蝶」の俳句例 (3件)

秋の蝶どこへ行つても日あたりへ
高浜虚子【現代語訳】秋の蝶は、どこへ飛んでいっても、少しでも温かい日当たりのよい場所へと向かっていくことだ。 【鑑賞】肌寒さを増す秋の日、蝶が温もりを求めて日だまりを選んで飛ぶ習性を平明な言葉で的確に捉えた名句です。秋の蝶の衰えゆく命と、光への切実な希求が素直な観察眼を通して鮮やかに描き出されています。
もつれつつ秋の蝶高くのぼりけり
富安風生【現代語訳】二匹の秋の蝶が互いにもつれ合うようにして、澄み渡る秋空高くへと昇っていった。 【鑑賞】弱々しくなりがちな秋の蝶ですが、二匹が絡み合いながら高く舞い上がっていく姿には、どこか痛切な生のエネルギーと気品が感じられます。澄み切った秋の高い空と、もつれあう白い羽のコントラストが印象的です。
秋の蝶ひるがへりつつ消えにけり
中村汀女【現代語訳】秋の蝶がひらひらと羽をひるがえしながら飛んでいたが、やがてふっと見失い、消えてしまった。 【鑑賞】秋の日差しの中で羽を一瞬きらめかせながら、あっけなく視界から消え去っていく蝶の姿を繊細に詠んでいます。「消えにけり」という結びによって、秋の深まりとともに命が終わりへ向かう寂しさと余情が見事に表現されています。

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