秋の鮎

秋の鮎

あきのあゆ

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意味・由来

「秋の鮎」とは、産卵期を迎えた秋の鮎のことです。春から夏にかけて清流を元気に泳ぎ回っていた若鮎は、秋になると産卵のために川を下り始めます。この時期の鮎は婚姻色で体が黒ずみ、これを「錆鮎(さびあゆ)」や「落ち鮎(おちあゆ)」とも呼びます。夏の鮎が持つ爽快さや若々しい清涼感とは対照的に、一生を終えようとする命の哀愁や成熟した趣、季節の移ろいを感じさせる三秋(秋全体)の季語です。

この季語で詠むコツ

「秋の鮎」を詠む際は、夏の瑞々しい鮎とのコントラストを意識することが大切です。川の瀬音の冷ややかさ、川底の石の陰り、夕暮れの光など、深まりゆく秋の風景と取り合わせると、鮎の持つ哀愁や静けさが際立ちます。また、子孫を残すために懸命に下る生命力や、塩焼きなどにして味わう秋ならではの滋味深さに焦点を当てるのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 水や川の情景:川瀬(かわせ)、瀬音(せおと)、浅瀬、夕影、石の影
  • 色や質感:錆(さび)、黒ずむ、痩せる、銀鱗(ぎんりん)、澄む
  • 味覚・調理:塩焼き、炭火、夕餉(ゆうげ)、串(くし)

秋の鮎」の俳句例 (3件)

秋の鮎買ひに来る人や村の奥
正岡子規【現代語訳】秋の鮎を買い求めに、わざわざ山深い村の奥まで人がやって来ることだ。 【鑑賞】秋深まる山村の情景をありのままに描いた句です。秋の鮎ならではの落ち鮎の味を求めて、人里離れた村の奥まで足を運ぶ買い手の姿から、秋の味覚への愛着と長閑な山里の秋の雰囲気が伝わってきます。
秋の鮎石に乗りたるばかりかな
加舎白雄【現代語訳】秋の鮎が、川の浅瀬の石の上にちょこんと乗っかっているだけの静かなことよ。 【鑑賞】産卵を前にして体力を使い果たしたのか、あるいは浅瀬に静かに身を休めているのか、石に乗る鮎の一瞬の姿を捉えた句です。夏の俊敏な動きとは異なる、秋ならではの静寂と枯淡の美がにじみ出ています。
秋の鮎塩を多めにかざしけり
久保田万太郎【現代語訳】秋の鮎を焼くために、塩をいつもより少し多めに振って火にかざしたことだ。 【鑑賞】脂がのり、あるいは卵を抱いた秋の鮎を調理する日常の一コマを詠んでいます。「塩を多めに」という細やかな所作に、秋の鮎の滋味をしっかりと味わおうとする食通らしいこだわりと、どこか侘びしさを漂わせる秋の夕餉の風情が感じられます。

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