秋深し

秋深し

あきふかし

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意味・由来

「秋深し(あきふかし)」は、秋が深まり冬の気配がすぐそこに迫っている晩秋の情景や、その季節感をしみじみと味わう心情を表す季語です。木々の葉が散り始め、日脚が急速に短くなり、朝夕の冷え込みが肌に刺さるようになる頃の、どこか寂しく静かな情緒を強く含んでいます。「秋深し」は単なる気温や暦の移り変わりだけでなく、深まりゆく季節に対する人の心の動きをも包み込む言葉です。

この季語で詠むコツ

「秋深し」という季語自体に深い情緒と存在感があるため、中七や下五で大げさな感情を言い添えるよりも、日常のふとした仕草や静かな情景を取り合わせるのがコツです。静寂、孤独感、人肌のぬくもり、あるいは光と影のコントラストなど、五感でとらえた具体的な事象と合わせることで、深まる秋の哀愁や趣がより鮮やかに立ち上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 静けさを際立たせる生活の情景(灯火、読書、珈琲、足音、隣の部屋)
  • 温もりや触覚を感じさせる描写(毛布、子どもの手、温もり)
  • 晩秋の光や色彩(遠山、夕影、枯葉、斜光)

秋深し」の俳句例 (3件)

秋深き隣は何をする人ぞ
松尾芭蕉【現代語訳】秋が深く静まり返るこの季節、隣の家に住んでいる人はいったい何をして過ごしているのだろうか。【鑑賞】芭蕉が晩年に大坂の病床で詠んだ名句です。秋の深まりとともに増す孤独感の中、壁一つ隔てた隣人の気配に思いを馳せています。人間の根源的な寂しさと人への温かな関心が滲み出ています。
遠山に日の当たりたる秋深し
高浜虚子【現代語訳】遠くの山にやわらかな秋の光が当たっている。季節はすっかり深まり、晩秋の趣である。【鑑賞】手前の薄暗い静けさと、遠くの山肌を照らす晩秋の淡い日差しとの対比が印象的な句です。客観写生を通じて、深まりゆく秋の冷涼な空気と広大な静寂を見事に描き出しています。
児の顔に手を置きみれば秋深し
中村汀女【現代語訳】眠っている我が子の顔にそっと手を触れてみると、そのあたたかさと周りの冷たい空気から、秋が深まったことをしみじみと感じる。【鑑賞】冷え込む晩秋の空気感と、我が子の柔らかな体温という触覚の対比が心に残る名句です。母親としての深い愛情と、季節の推移を日常の肌感覚で捉えた名作です。

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