吊船草

吊船草

つりふねそう

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意味・由来\n吊船草(ツリフネソウ)は、初秋から仲秋にかけて山野の湿地や渓流沿い、木陰などに群生するツリフネソウ科の一年草です。赤紫色の花の後ろ側が細長く筒状に伸びて渦を巻く独特の形状をしており、その姿が風流な「吊り舟」の花器や帆掛け舟を吊り下げたように見えることから命名されました。黄色の花を咲かせる黄釣船(キツリフネ)も同類として親しまれています。\n\n### この季語で詠むコツ\n水辺の薄暗い場所を好む性質があるため、周囲の「湿り気」や「木漏れ日」「水音」といった環境の陰影を取り入れるとしっとりとした秋の風情が引き立ちます。また、細い花柄の先で風を受けてゆらゆらと揺れる繊細な動きや、宙に浮かぶ小舟のようなユーモラスな造形美に焦点を当てて描写するのも効果的です。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n「渓流」「せせらぎ」「水音」「木陰」「谷風」「しづく」「夕暮」など、湿潤さや山深さを感じさせる語と相性抜群です。動作としては「揺らぐ」「吊らる」「こぼる」「傾く」などを用いると、細い柄にしがみつく花の表情が生き生きと伝わります。

吊船草」の俳句例 (3件)

つり舟草ゆらぎて水に従はず
水原秋櫻子【現代語訳】ツリフネソウが風に揺れているが、下を流れる急な水勢に呑まれることなく、独自の揺らぎを保っている。\n【鑑賞】渓流のほとりに咲くツリフネソウの姿を観察した句です。激しい水の流れに抗うように、細い花柄で凛として独自の命を主張して揺れる姿に、気品と自然の美を見出しています。
つり舟草夕べの雨のいまだ降る
飯田蛇笏【現代語訳】夕暮れ時になっても、秋の雨は止む気配もなくまだ降り続いている。その雨の中にツリフネソウが咲いている。\n【鑑賞】山間の湿潤な空気と、しとしとと降り続く雨の冷やかさを描いた句です。薄暗い雨の中で濡れそぼる赤紫の花が、深まりゆく秋の寂寥感をいっそう引き立てています。
吊舟草咲きみだれたる峡の雨
西島麦南【現代語訳】深い谷あいに雨が降りしきる中、ツリフネソウの花が一面に咲き乱れている。\n【鑑賞】険しい峡谷の薄暗い雨景色と、そこに群れ咲くツリフネソウの対比が鮮烈です。雨煙る幽邃な自然の中で、独特の舟形の花々が健気に咲き競う生命の輝きを捉えています。

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