造り鷺

造り鷺

つくりさぎ

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意味・由来

「造り鷺(つくりさぎ)」とは、秋祭りや神事の際に作られる白鷺(しらさぎ)を模した造り物のことです。特に島根県津和野町の弥栄神社に伝わる「鷺舞(さぎまい)」で演者が身にまとう白い翼と頭部の装束や、祭礼の山鉾・屋台を彩る鷺の細工物、収穫感謝の神饌(しんせん)として米粉などで作られる鷺などを指します。鷺は古来、神の使いや豊作をもたらす吉祥の鳥とされており、実物の鳥にはない人々の祈りや工夫が込められた工芸的な造形美が、秋の澄んだ空に映える季語です。

この季語で詠むコツ

本物の鷺ではなく「人が丹精込めて作った鷺」である点に焦点を当てるのがポイントです。木や竹、紙や布で精巧に作られた翼の質感、彩色、秋風を受けてかすかに揺れる様子などを丁寧に描写すると、祭の情景が鮮やかに立ち上がります。また、実物の鷺のような生々しさとは対照的な、どこか無機質で神聖な静けさ、あるいは祭の喧騒や華やぎとのコントラストを意識して詠むと深い余韻が生まれます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・祭礼・神事に関する言葉(「秋祭」「宮居」「神輿」「太鼓」など) ・風や光に関する言葉(「秋風」「秋日」「澄む」「暮るる」など) ・質感・色彩を表す言葉(「白き」「羽」「竹」「木」「紙」など)

造り鷺」の俳句例 (3件)

造り鷺羽うつ風のすさまじき
成田蒼虬【現代語訳】神事に据えられた造り鷺の羽が、折からの激しい秋風にあおられてまるで羽ばたいているかのようだ。 【鑑賞】動くはずのない造り物が、すさまじい秋風を受けて今にも飛び立つかのように揺れ動く瞬間を捉えた句です。秋の風の激しさと、人工物である造り鷺が見せる荒々しい躍動感が見事に対比されています。
造り鷺白きがうへの秋日かな
原石鼎【現代語訳】造り物の白鷺の、ただでさえ白いその上に、澄みわたった秋の日差しが鮮やかに降り注いでいることよ。 【鑑賞】人工の白の上に、自然の透明な秋光が重なり合う純白の情景を鮮烈に描いています。「白きがうへの秋日」という視覚的把握により、秋晴れの空の青さと鷺の神聖な美しさが際立っています。
造り鷺舞ふべく風の立ちにけり
高浜年尾【現代語訳】まるでこの造り鷺が羽ばたき舞い始めるかのように、心地よい秋風がすっと吹き抜けていった。 【鑑賞】祭の場で静かに据えられている造り鷺に、ふと秋風が吹き寄せた一瞬を捉えています。風をきっかけに静から動へと転じる気配や、鷺舞の神事が始まる予感を軽やかに詠み込んだ一句です。

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