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成田蒼虬

なりたそうきゅう

作風・特徴

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代表句 (5件)

藍の花藍より出でて藍ならず
季語: 藍の花 (autumn)
【現代語訳】藍の花は、あの深い藍色の草から咲いたというのに、決して藍色(青)ではなく淡い紅色なのだなあ。\n【鑑賞】中国の古典『荀子』の「青は藍より出でて藍より青し」という有名な言葉を踏まえたウィットに富んだ一句。深い青を染め出す草から、なんとも淡く愛らしい薄紅の花が咲く意外性を面白みとして詠み上げています。
兎鼓たたく手もなき月夜かな
季語: 兎鼓 (autumn)
【現代語訳】兎鼓が生えているが、それを叩く兎の手もない、静かで美しい月夜であることよ。 【鑑賞】地面に丸く生え出た兎鼓を見つけ、澄み渡る月光の下、これほど見事な鼓があるのに叩く兎がいない静けさを詠んでいます。月の兎の伝説と地上の兎鼓を結びつけた、情緒豊かで幻想的な名句です。
造り鷺羽うつ風のすさまじき
季語: 造り鷺 (autumn)
【現代語訳】神事に据えられた造り鷺の羽が、折からの激しい秋風にあおられてまるで羽ばたいているかのようだ。 【鑑賞】動くはずのない造り物が、すさまじい秋風を受けて今にも飛び立つかのように揺れ動く瞬間を捉えた句です。秋の風の激しさと、人工物である造り鷺が見せる荒々しい躍動感が見事に対比されています。
中汲や月にまとはぬ釣瓶縄
季語: 中汲 (autumn)
【現代語訳】名月の夜、中汲の水を汲もうと井戸に落とした釣瓶縄は、水底に映る月の影にまつわりつくこともなく、真っ直ぐに澄んだ水を汲み上げたことだ。【鑑賞】成田蒼虬(1774〜1842)は江戸後期の金沢の俳人。井戸の底に冴え冴えと宿る月と、そこにすっきりと下りていく釣瓶縄の清冽な関係を捉えています。「月にまとはぬ」という無心な把握に、濁りのない秋夜の清らかさと研ぎ澄まされた静寂が際立つ名句です。
姫雁の夜をくだる音や小夜時雨
季語: 姫雁 (autumn)
【現代語訳】夜の冷たい時雨が降る中、姫雁が空から水辺へと降り立っていく羽音が聞こえてくる。 【鑑賞】暗闇の中でしとしとと降る小夜時雨の音に混じって、小さな姫雁たちが着水しようとする微かな気配や羽音を聞き留めた繊細な一句です。姿は見えなくとも「姫雁」という言葉の響きが、夜の冷え込みの中で懸命に羽を休めようとする鳥たちの健気さをありありと浮き彫りにしています。