豊浦祭

豊浦祭

とようらまつり

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意味・由来

「豊浦祭(とようらまつり)」は、長門国(現在の山口県下関市長府)にある忌宮神社(いみのみやじんじゃ。古代の豊浦宮跡)で旧暦9月18日(現在は新暦10月)に行われる秋の例大祭を指す晩秋の季語です。仲哀天皇や神功皇后を祀る歴史ある神社で、秋の豊かな実りに感謝し、神楽や神輿の巡行など古式ゆかしい神事が行われます。古くからの歌枕・歴史の舞台である「豊浦」と、本州と九州を隔てる関門海峡の潮の流れが深く結びついた、旅情豊かな海辺の祭として知られています。

この季語で詠むコツ

豊浦祭を詠む際は、海峡を望む土地柄ならではの「潮路(しおじ)」「関門」「海」「波」「舟」といった海辺の景観と組み合わせると、この祭特有の叙情性が際立ちます。祭そのものの熱気や神楽の音色を描くだけでなく、舟旅の途中で沖合から遠く祭の気配を感じる、あるいは祭のあとの静けさに目を向けるなど、少し引いた視点から旅愁や歴史の重みを取り合わせるのが効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

・地理・海:汐路(しおじ)、関門、夜船、長府、海峡、潮騒 ・感覚・情景:神楽笛、太鼓、篝火、夕潮、秋風、名残

豊浦祭」の俳句例 (3件)

豊浦の祭見過す汐路かな
志太野坡【現代語訳】船に乗って関門海峡を進んでいると、ちょうど豊浦の祭礼の日であったが、立ち寄ることもなくその潮路を船で見過ごして通り過ぎてゆくことだ。 【鑑賞】芭蕉門下の野坡による句。旅の途次、海の上から陸地の祭に思いを馳せつつも、速い潮流に乗って通り過ぎてゆく旅人の哀愁と旅情が、豊浦祭の華やぎとの対比で見事に描き出されています。
豊浦の祭に逢ふて夜船かな
正岡子規【現代語訳】豊浦の祭礼の日にちょうど巡り合わせ、夜の海を行く船の上からその祭の風情を味わっていることだ。 【鑑賞】夜の帳が下りる関門海峡の船上から、陸の豊浦祭の灯りやざわめきに思いを寄せた句。夜船の静寂と、遠くで息づく祭の熱気との対比が、秋の夜の詩情を際立たせています。
豊浦の祭のあとの汐路かな
高浜虚子【現代語訳】豊浦の祭が終わり、静けさを取り戻した海辺の潮路を船が進んでゆくことだ。 【鑑賞】祭の華やかさそのものではなく、「祭のあと」の寂寥感に着目した句。神事の熱狂が去った後の関門の海には、ただ秋の速い潮が流れるばかりであるという景が、深い余韻を残します。

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