秋思祭

秋思祭

しゅうしさい

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意味・由来

「秋思祭(しゅうしさい)」とは、昭和期に活躍した新興俳句・前衛俳句の旗手である俳人・富澤赤黄男(とみざわかきお、1902~1962年)の命日である9月7日を指す忌日(きじつ)の季語です。愛媛県出身の赤黄男は、第一句集『天の狼』や代表句集『秋思』などを発表し、モダンで象徴詩のような独自の世界を切り拓きました。彼の代表的な句集名や、秋の深い哀愁をたたえた作風にちなみ、その忌日を「赤黄男忌」とともに「秋思祭」と呼ぶようになりました。

この季語で詠むコツ

「祭」という文字が含まれていますが、一般的なお祭りのような賑やかさではなく、静謐で透明感のある物思いや知的な哀愁を詠み込むのが特徴です。富澤赤黄男の前衛的・シャープな詩風に敬意を表し、叙情に流されすぎない乾いたモダンな言葉遣いや、象徴的なイメージ(光、影、透明な器、夜など)を配置すると、この季語が持つ特有の詩情が引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・光や透明感を連想させる言葉(硝子、白、青、水、鏡、プリズム) ・孤独や思索を連想させる言葉(椅子、影、階段、余白、夜、書架) ・研ぎ澄まされた静寂の描写(澄む、冷ゆる、微動だにせず、ひとり)

秋思祭」の俳句例 (3件)

秋思祭ひとつの椅子をめぐりては
古舘曹人【現代語訳】秋思祭の日に、置かれた一つの椅子の周りをめぐりながら、赤黄男の不在と思索に思いを巡らせている。 【鑑賞】ぽつんと残された「ひとつの椅子」が、亡き俳人・赤黄男の強烈な存在感と不在感を鮮やかに浮き彫りにしています。具象を描きながら前衛的な空気感を醸し出す、秋思祭にふさわしい静謐な追悼句です。
秋思祭一本の木を遠巻きに
有馬朗人【現代語訳】秋思祭の澄んだ空気のなか、立つ一本の木を遠くから静かに囲むように見つめている。 【鑑賞】孤高の樹木を遠巻きに眺める視線を通して、赤黄男という偉大な前衛俳人の孤高の佇まいを偲んでいます。物理的な距離感が、かえって深い敬意と秋の透明な哀愁を際立たせています。
秋思祭わが魂魄の透きとほる
角川春樹【現代語訳】秋思祭の今日、自分自身の魂までもが澄み渡り、透明に透き通っていくようだ。 【鑑賞】「魂魄(こんぱく)」という重みのある言葉を「透きとほる」と結ぶことで、赤黄男の持つ冷徹で澄み切った詩精神に感応する自己の心境を鮮烈に詠み上げています。

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