精霊流し

精霊流し

しょうりょうながし

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意味・由来

「精霊流し(しょうりょうながし)」は、初秋(お盆の終わりである八月十六日頃)に行われる伝統行事で、秋の季語です。お盆の期間に家に迎え入れた先祖の御霊(精霊)を冥界へと送り帰すため、供え物や灯籠を小さな藁舟や木舟に載せ、川や海へ流します。長崎の精霊流しのように爆竹が鳴り響く大規模なものから、川面に蝋燭の灯火が静かに揺れる幻想的な灯籠流しまで、各地で祈りと追悼の情景が繰り広げられます。現世から異界へと魂を見送る、切なさと敬虔さに満ちた行事です。

この季語で詠むコツ

「火・光」と「水・闇」のコントラスト、あるいは遠ざかっていく「動き・時間の流れ」に着目するのがポイントです。舟が闇の中へと吸い込まれていく様子や、流れていく火の揺らぎ、見送る人々の祈りの表情や佇まいを描くことで、抒情豊かな句になります。単に美しい光景を描くだけでなく、故人への個人的な追慕や、行事が終わった後の静寂・寂寥感をすくい取ると、より深い余韻が生まれます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 水や光に関わる言葉:水脈(みお)、川波、遠浅、灯影(ほかげ)、闇、流灯
  • 動き・感覚の言葉:揺らぐ、消えゆく、遠ざかる、見送る、静寂、ひびき
  • 心情・追悼に関わる言葉:祈り、名残、面影、合掌、別れ

精霊流し」の俳句例 (3件)

精霊流し見えぬところへ波打ち寄す
高浜虚子【現代語訳】精霊舟が流されて闇の中へ消え、もう見えなくなった沖の方から、ただ波の音だけが寄せてくる。 【鑑賞】海へと流された精霊舟が視界から消え去った後の情景です。暗い海から寄せては返す波の音だけが響くことで、送られた御霊が無事にあの世へ旅立った余韻と、現世に残された者の寂寥感が際立ちます。見えない「向こう側の世界」を波の音によって巧みに表現した名句です。
精霊流し火の消えし舟も行く
中村汀女【現代語訳】精霊流しの川面を、灯火が消えてしまった舟もまた、静かに他の舟とともに流れてゆくことだ。 【鑑賞】流された精霊舟のなかには、風や波で火が消えてしまったものもあります。しかし、火が消えても舟は冥界へと向かって進んでいきます。華やかな灯火の列の中でふと火の消えた舟を見つめる眼差しに、人生の諸行無常や深い哀愁、命を見送る静かな慈愛が宿っています。
精霊流す水やはらかに行きにけり
星野立子【現代語訳】精霊舟を浮かべて流した川の水は、まるで舟をいたわるかのようにやわらかに流れていった。 【鑑賞】「水やはらかに」という把握に、女性俳人らしい繊細な感性が光ります。故人の魂を乗せた舟を優しく包み込み、運んでいく水の感触から、現世の執着を解き放つような安らぎと、旅立ちを見届ける温かな祈りの心が素直に伝わってきます。

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