死杖祭

死杖祭

しづえのまつり

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意味・由来

「死杖祭(しづえのまつり)」は、陰暦八月十八日(現在の秋の彼岸前後の時期)に行われる仏教行事で、亡くなった人が冥土への旅路で用いた杖や、生前愛用していた杖を集めて供養し、焚き上げる法会のことです。京都嵯峨の清涼寺(釈迦堂)などで行われたものがよく知られています。歩行を助け、人生の旅路を共に歩んできた「杖」を手放し供養することで、故人の冥福を祈るとともに、生ある者の無事息災を願う秋の哀愁と信仰が結びついた季語です。

この季語で詠むコツ

「死」と「杖」という象徴的な言葉を含むため、単に重苦しい追悼の句にするのではなく、秋の澄んだ空気や人の温もり、老い、時間の経過などを対比させると味わい深くなります。実際に杖にすがって歩く参拝者の姿や、寺の境内に立ち上る煙、秋の暮色などの情景を具体的に描写することで、しみじみとした情感を漂わせることができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・人物・身体:「老い」「姥(うば)」「手のひら」「よろめく」「歩み」 ・情景・空間:「石段」「供養の煙」「門前」「古寺」「秋風」 ・心情・宗教:「祈り」「冥加」「香の香」「合掌」

死杖祭」の俳句例 (3件)

死杖祭笠きて過ぐる僧もあり
高井几董【現代語訳】死杖祭の供養が行われる寺のあたりを、深編笠をかぶった僧が静かに通り過ぎていく。【鑑賞】死杖を供養する人々の集まりと、そこに足を留めることなく通り過ぎていく孤独な旅僧の姿を対比させています。秋の日の静寂と無常観が、淡々とした情景描写によって際立っています。
死杖祭よろぼふ姥も参りけり
三浦樗良【現代語訳】死杖祭の日に、足元もおぼつかなくよろめく老女までもがお参りにやってきたことだ。【鑑賞】自らも杖にすがらなければ歩けないような老いた身でありながら、亡き人を偲び杖を供養しに訪れる老女の姿を描いています。命の儚さと人の情の深さが、秋の寂寥感とともにしみじみと伝わってくる名句です。
死杖祭佛の杖も交りけり
森川許六【現代語訳】死杖祭で供養される数々の杖のなかに、亡き人(仏)が生前使っていた杖も混じっていることだ。【鑑賞】山のように集められた杖の中に、今は亡き親しい人の愛用していた杖を見出した瞬間を詠んでいます。「佛の杖」という表現に、故人への追慕の念と哀悼の心が込められています。

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