1729年 - 1780年

三浦樗良

みうらちょら

作風・特徴

飄逸で軽妙、流浪の旅人らしい自由な詩情が漂う句風。伊勢的な土着の情感と漂泊の哀愁が融合した中興俳諧を代表する個性的作風。

生涯・略歴

江戸中期の俳人。志摩国(現・三重県鳥羽市)生まれ。天明中興俳諧六家の一人に数えられ、蕪村らと交流を深めた。伊勢に無為庵を結び流浪行脚を続けながら独自の俳風を確立した。飄逸で軽妙な句風が特徴で、晩年は京都に住した。中興期俳諧の一翼を担った重要な俳人であり、各地の撰集や俳諧結社にも深く関わった。

代表句 (9件)

うぐいすの 古声したふ 初日かな
夜はうれしく 昼は静かや 春の雨
鶯の 鳴くや昨日の 今時分
ふるさとへ 戻りて見たる 柳かな
踊振のうしろ姿や更くる月
季語: 踊振 (autumn)
【現代語訳】踊り子の身振りを後ろ姿から見つめているうちに、夜も更けて月が高く傾いてきた。 【鑑賞】正面からではなく「うしろ姿」の踊り振りに着目したことで、踊りの余韻と夜の深まりがしっとりと描かれています。樗良らしい繊細で静かな抒情が光る一句です。
死杖祭よろぼふ姥も参りけり
季語: 死杖祭 (autumn)
【現代語訳】死杖祭の日に、足元もおぼつかなくよろめく老女までもがお参りにやってきたことだ。【鑑賞】自らも杖にすがらなければ歩けないような老いた身でありながら、亡き人を偲び杖を供養しに訪れる老女の姿を描いています。命の儚さと人の情の深さが、秋の寂寥感とともにしみじみと伝わってくる名句です。
大日や嵯峨の木末の夕時雨
季語: 大覚寺大日会 (autumn)
【現代語訳】大日会が行われる今日、嵯峨の木々の梢に夕時雨が静かに降りかかっている。【鑑賞】晩秋の嵯峨野の風情と、大日会の厳粛な雰囲気が夕時雨の寂寥感とともに描かれています。梢を濡らす雨が季節の深まりと寺の静けさを際立たせています。
簟の別れや秋の肌ざはり
季語: 簟の別れ (autumn)
【現代語訳】簟を片付けて別れを告げると、本格的な秋の涼しさが直に肌へと伝わってくるようだ。 【鑑賞】冷感をもたらしてくれた簟をしまうことで、かえって肌に触れる秋の冷気が実感されるという、身体感覚を素直かつ的確に捉えた一句です。
契草さしても見えず薄紅葉
季語: 契草 (autumn)
【現代語訳】契草はそれほど目立って咲いているわけではないが、色づき始めた薄紅葉の景色の中にひっそりと佇んでいる。【鑑賞】秋の山野の淡い紅葉と、その陰にひっそり咲く契草の紫の対比を繊細に捉えた句です。派手に主張しない草花の奥ゆかしさに、江戸中期の蕉風復興を担った樗良らしい閑寂な美意識が表れています。