鹿鳴草

鹿鳴草

しかなぐさ

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意味・由来

「鹿鳴草(しかなぐさ)」は、秋の七草の一つである「萩(はぎ)」の風流な異称(別名)です。 古来より和歌の世界では「萩」と「妻を求めて鳴く鹿」の組み合わせが深く愛されてきました。万葉集や古今和歌集の時代から、鹿が萩の花に寄り添って鳴く情景が多く詠まれたことから、萩そのものを「鹿が鳴く草」として「鹿鳴草」と呼ぶ雅名が生まれました。単に「萩」と呼ぶよりも、秋の寂寥感や野趣、動物と植物が響き合う叙情的な趣が強調される季語です。

この季語で詠むコツ

「鹿鳴草」という言葉自体に深い古典的風情と物語性が宿っているため、あまり大げさな描写を重ねず、素朴で静かな情景を取り合わせるのがポイントです。 夕暮れの光、通り抜ける風、こぼれる露、山里の静けさなど、五感を刺激する繊細な描写と合わせると季語の持つ幽玄な美しさが際立ちます。あえて本物の鹿を登場させず、草の揺れる姿や音のない空間に「鹿の気配」を潜ませるような詠み方も効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 自然・気象:夕月、野分(のわき)、露、夕風、薄暮、山影
  • 場所・情景:古寺、垣根、野辺、山路、杣道(そまみち)
  • 情緒・動詞:こぼる、靡く(なびく)、そよぐ、しじま、かすか

鹿鳴草」の俳句例 (3件)

鹿鳴草風にまかるるばかりかな
加舎白雄【現代語訳】鹿鳴草(萩の花)が、吹き過ぎる秋風に身を任せてただ靡いていることよ。 【鑑賞】風に抗うことなく柔らかにしなだれる萩の姿を、余分な修辞を削ぎ落として捉えた一句です。「まかるる(身を任せて靡く)」という措辞に、秋の訪れと無常観が静かに滲み出ています。
鹿鳴草白きがくれの小鹿かな
松根東洋城【現代語訳】白萩の咲きこぼれる陰に、小さな鹿が隠れるように佇んでいることよ。 【鑑賞】白い鹿鳴草(白萩)の花の白さと、草陰に身を寄せる小鹿の姿を絵画的に切り取った一句です。季語の由来である「鹿」をあえて配しつつ、可憐で静謐な秋の山里の情景を鮮やかに表現しています。
鹿鳴草咲いて淋しき夕かな
正岡子規【現代語訳】鹿鳴草が咲き乱れ、もの寂しさが募る秋の夕暮れであることよ。 【鑑賞】シンプルながら季語の持つ哀愁を素直に引き出した句です。夕暮れの淡い光の中に咲く鹿鳴草の風情と、作者自身の孤独感や秋の寂寥感が見事に重なり合っています。

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