甘藷

甘藷

さつまいも・かんしょ・いも

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意味・由来

「甘藷(かんしょ・さつまいも)」は、ヒルガオ科の多年草で、その肥大した根(芋)を指す秋の季語です。中南米原産で、琉球(沖縄)を経て薩摩(鹿児島)から全国へ広まったため「薩摩芋(さつまいも)」とも呼ばれます。江戸時代には飢饉を救う貴重な作物としても重宝され、庶民の暮らしに深く根付いてきました。単に「芋」と呼ぶと俳句では里芋を指すことが多いため、さつまいもを詠む際には「甘藷」「薩摩芋」などと明確に使い分けるのが一般的です。

この季語で詠むコツ

甘藷は、畑から掘り起こすときの泥や土の匂い、手にしたときのずっしりとした重み、独特の赤紫色(紅土色)など、視覚や触覚を刺激する要素が豊富です。また、蒸し芋や焼き芋など家庭的な食の温もりを詠み込むことで、素朴で親しみやすい生活感を表現できます。気取らず、日常の手触りや夕暮れの台所風景などを素直に描写するのが成功のコツです。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 土・収穫の情景: 泥、畝(うね)、鍬(くわ)、掘り出す、手
  • 触覚・重量感: 重し、太し、ずっしり、ぬくもり、冷え
  • 生活・調理: 湯気、焚き火、夕餉(ゆうげ)、蒸籠(せいろ)、皮

甘藷」の俳句例 (3件)

薩摩芋重きを一つ選びけり
鈴木真砂女【現代語訳】並んださつまいもの中から、ずっしりと重いものを一つ選んだことだ。 【鑑賞】店頭や収穫の場で、美味しそうに実ったさつまいもを手にして選ぶ日常のひとコマを、実感豊かに切り取った一句です。手に伝わる確かな重みと、これから味わう素朴な喜びが飾らない言葉で表現されています。
甘藷焼く火に夕風のたちにけり
久保田万太郎【現代語訳】さつまいもを焼いている焚き火に、夕方の冷たい風が吹き寄せてきたことだ。 【鑑賞】落ち葉などで甘藷を焼く煙と、夕暮れ時の肌寒さの対比が秋の情趣を際立たせています。火の温もりと風の冷たさが交錯する、情緒豊かな晩秋の名句です。
甘藷掘るや背戸の小山も夕日影
正岡子規【現代語訳】裏庭でさつまいもを掘っていると、裏手の小山にも夕日が美しく差している。 【鑑賞】秋の収穫作業に精を出す作者の視界に、夕日に染まる裏山が広がっています。大地の恵みと穏やかな里山の夕景が調和した、のびやかで素朴な味わいのある写生句です。

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